古代の暮らしや文化を体感 福井洞窟ミュージアム 4月開館

洞窟現場を再現した展示室内のジオラマ=佐世保市、福井洞窟ミュージアム(市教委提供)

 佐世保市吉井町に4月28日、「福井洞窟ミュージアム」が開館する。国指定史跡「福井洞窟」の発掘調査で出土した国指定重要文化財を含む石器や土器など約400点を中心に展示。古代の人々の暮らしや福井洞窟の魅力について発信する拠点施設となる。
 福井洞窟は間口約16メートル、奥行き約6メートル、高さ4メートルの砂岩洞窟で、研究者らが1960年代に計3回の発掘調査を実施。日本最古級の土器など国内の歴史の始まりに関するさまざまな発見があり、78年に国史跡指定を受けた。
 市は2005年の旧北松吉井町との合併に伴い、全国でも多数の洞窟遺跡がある都市になった。地域のシンボルや教育の場として活用するなど福井洞窟を生かした町づくりを推進。洞窟の学術的な価値を再確認するため、11年2月から1年4カ月にわたり発掘調査を実施した。
 ミュージアムは、市吉井支所、吉井地区コミュニティセンターと併設。洞窟のジオラマや土層の断面など当時の様子を体感できる展示や、石器や土器について映像などで学ぶコーナーなどがあり、旧石器時代から縄文時代にかけての人々の暮らしや文化の移り変わりを分かりやすく伝える。
 福井洞窟の史跡としての見どころなどを伝える情報コーナーや体験学習の場も設置。現地に足を運んでもらうきっかけもつくる。
 開館初年度の目標来場者数は1万人。市教委文化財課は「ミュージアムの完成でこれまで伝えづらかった福井洞窟の価値が学びやすくなった。人間が過酷な環境に順応しながら生きてきた過程を見てほしい」と呼び掛けている。
 開館時間は午前9時~午後5時。毎週月曜と年末年始は休館。入館無料。

福井洞窟ミュージアムなどが入る施設=佐世保市吉井町(市教委提供)

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