投手力では巨人より阪神、「3位以下に差がない」 名手・飯田哲也氏がセ順位予想

中日のビシエド、阪神・佐藤輝明、広島・栗林良吏(左から)【写真:荒川祐史】

古巣のヤクルトは5位予想「山田にはやってもらわないと困る」

26日に開幕するプロ野球のペナントレース。原辰徳監督率いる巨人が“横綱相撲”で2年連続の覇者に君臨するセ・リーグを展望する。現役時代にヤクルトでゴールデングラブ賞7度の名外野手として鳴らした野球評論家の飯田哲也氏は、2005年以来16年ぶりとなる阪神の優勝を敢然と予想した。

1位 阪神
2位 巨人
3位 中日
4位 広島
5位 ヤクルト
6位 DeNA

阪神は、ドラフト1位ルーキー・佐藤輝明がオープン戦で12球団最多の6本塁打を量産して話題に。飯田氏も「佐藤はシーズンでもやりますよ。飛距離が凄い。打ち損じでもフェンスを越えますから」と太鼓判を押す。さらに「(ジェフリー・)マルテ、(ジェリー・)サンズの両外国人が好調で、4番の大山(悠輔)を挟むクリーンアップは強力」と分析。開幕投手に指名された藤浪晋太郎が復活すれば、投手陣には先発の西勇輝、秋山拓巳、青柳晃洋、抑えのロベルト・スアレスら豪華な顔ぶれが並び、投手力では「巨人を上回る」と見る。

巨人も坂本勇人、岡本和真、丸佳浩のクリーンアップが健在。エースの菅野智之も残留した。飯田氏も「駒がそろっている上、原監督は選手を乗せるのがうまい」と認める。いずれにせよ、阪神と巨人「2強」の一騎打ちとなる可能性が高そうだ。

広島は4位予想…守護神務めるルーキー栗林は「公式戦で持ちこたえられるか」

「3位以下には差がない」と分析する中で、中日を昨季と同じ3位に推した。「決め手はないが、穴もない」と評するが、昨季沢村賞の大野雄大、開幕投手を務める福谷浩司に加え、安定感のある祖父江大輔、福敬登ら救援陣がチームの白星を重ねていけば、Aクラス確保が見えてくる。ただし「1発を期待できるのが、4番の(ダヤン・)ビシエドだけ。彼がケガをしたら終わり、という危うさがある」とも飯田氏は指摘した。

広島は守護神を務めるドラフト1位ルーキー・栗林良吏が、オープン戦最終戦となった21日のソフトバンク戦で1点リードの9回に登板し、3三振を奪う一方、2安打1四球で2死満塁まで追い込まれた。「オープン戦レベルでバタバタするところがあった。公式戦で持ちこたえられるかどうか」と懸念する飯田氏。大瀬良大地、森下暢仁ら先発は安定。打線は「5位に沈んだ昨季は、鈴木誠也頼みになってしまった。菊池(涼介)、松山(竜平)がどれだけフォローできるかが鍵」と見ている。

飯田氏の古巣であるヤクルトは、先発投手が慢性的に手薄。野手では39歳の青木宣親、ソフトバンクを戦力外となり加入した38歳の内川聖一、36歳の坂口智隆のベテラントリオが好調だが、今季から主将を務める山田哲人は下半身に不安を抱え、21日の西武とのオープン戦最終戦を欠場した。飯田氏は「山田にはやってもらわないと困る」と奮起を促す。脇腹の故障などで94試合出場にとどまった昨季の二の舞となれば、チームの浮上も望めない。

DeNAは、コロナ禍で2年目のタイラー・オースティン、4年目のネフタリ・ソトが来日できず“飛車角落ち”の状況。昨季レギュラー1年目で首位打者を獲得した佐野恵太も「オースティン、ソト、昨季限りで退団した(ホセ・)ロペスに助けられた面があった。徹底的にマークされ重圧がかかる現状はかなりキツイ」と飯田氏は分析する。

佐藤輝、藤浪らに“上がり目”がある阪神か、それとも安定感の覇者・巨人か。あるいは2強の足をすくうチームが現れるのか……。ペナントレースの行方に注目が集まる。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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