「オレが一番になるんだ」DeNA森敬斗が抱く“同期”佐々木朗&奥川への対抗心

DeNA・森敬斗【写真:荒川祐史】

期待の星・森敬斗にインタビュー、高卒2年目も「そんなにゆったりしている暇はないと思うんです」

DeNAの森敬斗内野手は、今季中の1軍定着へ連日ファームで鍛錬を積んでいる。イースタン開幕となった20日のロッテ戦(横須賀)では、「1番・遊撃」で先発出場して4打数2安打1打点。将来の看板選手として期待される19歳は、いま何を思い鍛錬を積んでいるのか。オンラインインタビューで今季への思いや自身の課題、さらには仁志敏久2軍監督から学んだことや、同世代のロッテ・佐々木朗希、ヤクルト・奥川恭伸両投手への思いを明かすなども大いに語った。【小谷真弥】

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のんびりなんかしていられない。森は自らへ言い聞かせるように、今季の早期の1軍昇格、熱い思いを打ち明けた。

「すぐにレギュラーを取れるとは思ってないし、自分でもまだまだ技術も足りないと思っています。でも、そんなにゆったりしている暇はないと思うんです。まずは1軍に定着して、レギュラーを取れるように頑張りたいです」

「もちろん早く活躍したいと思っています。やっぱり、ゆっくりしていられないです。土台を作って、ちゃんと試合で使ってもらえるようにアピールしたいなと思います」

昨季終盤の10月27日に1軍初昇格。同日の巨人戦(横浜)で剛腕ビエイラから左越え二塁打を放ち、初打席初安打の鮮烈デビューを飾った。1日でも早く1軍へ上がるには、自らが取り組むべき課題も分かっている。

「速いストレートに合わせて振っていくことをずっと意識してやっています。真っすぐを打てなくちゃ始まらないなと感じたので。当てにいく打撃は、どうしても小さい打者になってしまう。コーチ(大村巌、下園辰哉の両2軍打撃コーチ)と話し合いながら、真っすぐに強い選手になろうと。155キロ以上のボール、強い球をイメージしながら常にやっています」

「ソフトバンクをはじめパ・リーグの投手は真っすぐが強い印象があるので。そういうところを意識して、毎日練習していかないと。ファームで打てなかったら上でも打てない。そこ(1軍レベル)は常に考えながら練習しています」

マシン打撃では通常の打席の数メートル前へ立つ。「タイミングを早く取ることもありますし、無駄な動きをしないこと。速い球に対応するには、すごく大事になってくると思います。(試合では)自分のタイミングで振る。強い自分のスイングが出来るようにというのを意識しています」と明かした。

DeNA・森敬斗【写真:荒川祐史】

唯一無二の選手に「目指している選手はいません。何をしても凄いプレーヤーになりたい」

闘志をむき出しにしたのは同世代のロッテ・佐々木朗、ヤクルト・奥川の話題にふれた時だった。約20分のインタビューで「僕は~」と話していた19歳は自らを「オレ」と呼び、強いライバル心を見せた。

「もちろんそこは(意識しています)。同級生で交流もあって、色々と話したりしてきたので。同級生が活躍しているとなったら、オレも頑張らなきゃな、悔しいなとなります。そこはオレがもっと……。『オレが一番になるんだ』ぐらいの気持ちはすごくあります」

3月。佐々木朗は最速153キロの直球で1回3人斬りデビューし、奥川も開幕ローテーション入りへアピールを続けた。報道で伝えられる両選手の活躍も全てカンフル剤だ。

「去年とかはたまに連絡したと思いますけど、最近は取ってないですね。(両投手の報道は)励みというより、オレもやらなきゃなという気持ちになります」

今季から仁志2軍監督が就任した。巨人時代の1999年から4年連続でゴールデングラブ賞を受賞。打撃では右左の違いがあるとはいえ、通算1591安打、154本塁打を記録した強打者から学ぶことは多い。「『ちょっとやってみたら』と言っていただいて。手応えを感じていることもありますし、いろいろなことを教えていただいてます」と話し、守備で具体例を挙げた。

「ボールを捕ることを考えると、どうしても受けているような感じになる。そうではなく、ちゃんとボールを捕りにいく。守備でも攻める。守備で攻めようと話をしてもらいますね。僕の中で割と受けてしまっていた部分もありました。引き出しはすごく増えたと思います」

仁志監督から「同じ年代では12球団でもトップクラスの選手。1軍のレギュラーとして出続けるために何が必要かを求めている」と大きな期待を受ける。だが、その素顔は19歳そのものだ。私生活について、少し照れくさそうに明かした。

「気持ちに余裕が出てきたのか分からないですけど、ちょっと部屋がキレイになりましたね。もともと整理整頓が得意ではなくて。物も多かったり、割とゴチャゴチャしてしまうことがあるんですけど、一人の人間として汚いことは損することだと……。去年、親に『掃除機が欲しい、買っといて』と言ったら、僕のお金なんですけど、ダイソンを(寮に)送ってくれました。(周りから)キレイと言われるぐらい整理整頓はしたいなと思っています」

地元の神奈川・桐蔭学園高からドラフト1位で入団した。「目指している選手はいません。例えば坂本選手(巨人)になりたいとか、誰々になりたいというのは好きではないです。本当に、長打も打てるし足も使えるし、守備もいい。何をしても凄いプレーヤーになりたいと思っています」。熱いハートを胸に秘め、唯一無二のハマの新星を目指していく。(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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