消費額5億円へ 長与町キャッシュレスポイント還元 事業効果、今後どう生かすか

町のキャッシュレスポイント還元事業を利用し、スマホ決済で買い物する人=2月27日、長与町内

 新型コロナウイルス禍の経済支援として、長崎県西彼長与町が今年1月5日から2月末まで実施したキャッシュレスポイント還元事業。町民以外も利用できることから反響を呼び、ポイント利用による消費額は当初想定の倍の約5億円に上るとみられている。参加店からは「売り上げにつながった」との声が聞かれるが、事業効果を今後にどうつなげるか課題も残る。
 「パパ、携帯貸して」。期間最後の週末。参加店のレジ前では、財布の代わりにスマートフォンを手にする消費者が目立った。店員に利用法を尋ねる年配夫婦や夫のスマホで決済する女性、ポイントが上限に達し家族のスマホで支払う人-。コンビニでは現金チャージを待つ列ができた。
 町は、町民向けに発行したプレミアム付き商品券の有効期限が切れる1月中旬以降も切れ目なく消費喚起を図ろうと、ソフトバンク系のスマホ決済大手ペイペイと契約。町内で「ペイペイ残高」による支払いをすると、最大30%がポイントで消費者に還元される仕組みで、還元分については1万円相当分を上限に町が負担した。
 消費者には好評で、諫早市から買い物に来た女性会社員(46)は取材に「同僚から聞いてペイペイのアプリを入れた。30%還元は大きい」。長崎市の50代パート女性も「食料1週間分を長与で買って帰る」と意気込んだ。
 2月末時点で事業対象だったのは家電量販店などの大型店ほか、菓子店、鮮魚店、生花店、コンビニ、飲食、理美容関連など487カ所。ポイント還元に充てる予算として計上していた約8千万円を途中で消化したが、事業は続行。町産業振興課は「県内に特別警戒警報が発令され厳しい状況が続いていた。事業者の意欲を低下させることは避けたかった」と説明する。
 「思った以上の反響だった」と振り返るのは生活協同組合ララコープ。「ララながよ」でのペイペイ利用客単価(2月)は使わなかった人の1.44倍だった。酒類などまとめ買いの傾向が見られたという。町内のスーパーは「1、2月の売り上げが増え、ありがたかった。明らかに新規客が増えた」と今回の事業を評価。服飾雑貨店も「例年並みの売り上げは維持できた」と喜ぶ。
 一方で、事業の効果を今後にどう生かしていくかが課題だ。「期間中は、週末を中心に若い世代の家族連れが増えた印象。生協加入者は高齢化しており、これを機会に若い人を取り込んでいければ」(ララながよ)などと各店は対応を模索。同課も「事業を通じて来町した人と町内店舗が今後もつながってほしい」と期待しており、官民の取り組みが注目される。


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