阪神 V奪取のカギは“ビジターでの引き分け”

木浪(左)と談笑する阪神・矢野監督

阪神・矢野燿大監督(52)は、初の開幕投手に藤浪晋太郎投手(26)を指名して迎える一戦に「どんな形であれ最後の(守護神)スアレスにつないでくれるような、気持ちのある投球を」と期待を寄せた。今季は延長戦なしの「9回打ち切り」ルールが導入される。そんななかで、チームはビジターでの引き分けに強い意識を置くという。

チーム事情に詳しい関係者は「もちろん試合内容によって『勝てた』はずの引き分けもあるかもしれないが、それでもビジターは、守りきる。これが今年はより大事」とまで話す。今季限定のルールが特定のチームに有利に働くことはあり得ないが、それでも、すでに発表済みの日程も相まって、例年とは違う追い風が阪神に吹くと見ているのだ。

肝になるのが東京五輪開催中の約1か月の休止期間。今季の阪神には8月に毎年恒例の2週以上、ビジターが続く通称・死のロードがない。7~8月の遠征は最大2カードまでとなっている。

3カード以上は現状、10月5日からDeNA、ヤクルト、巨人と続く関東遠征のみ。この遠征は、シーズンの順位を占ううえでも重要なのは想像できる。終盤はCS進出も含めた順位争いが「勝率勝負」にもなり、シーズン序盤から、サヨナラ負けのリスクがついて回る敵地で「引き分け」の試合の価値は例年以上と踏んでいるためだ。

「今年は引き分けの数が終盤の順位争いに必ず影響する。シーズンのラスト数試合『1勝2分け』と『2勝1敗』で順位が変わることだってあり得る。最後、守らないと試合が終われないビジターで『負けないこと』は今年はすごく大事」

9回打ち切りの特例シーズンでは、最後は“厘差”の勝率でも制しきれるマネジメントが必要。まずは敵地での取りこぼしを最小限にすべく、阪神はスタートからガードも固めた戦いを念頭に置いている。

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