投手力の楽天と選手層のソフトバンクが優勝を争うと予想
プロ野球は26日に開幕を迎える。観客数の制限や試合開始時間の変更など、新型コロナウイルスの影響はまだ残るが、今年は当初の予定通りの開幕となる。ここでは、開幕直前企画としてロッテ、米大リーグ・インディアンスなどで日米通算234セーブを挙げ、今季から社会人野球エイジェック投手総合コーチを務める小林雅英氏にパ・リーグの順位予想をしてもらった。
1位 楽天
2位 ソフトバンク
3位 西武
4位 ロッテ
5位 オリックス
6位 日本ハム
昨年は3年ぶりのリーグ優勝を果たし、4年連続日本一に輝いたソフトバンクの力を認めつつ、小林氏は「希望も含めて」と、楽天を1位に推した。「田中将の復帰で涌井、岸、則本昂と先発が揃いました。このメンバーがいるうちに勝っておかないと、次のチャンスがいつ来るのかという感じがします。この4人の右投手に、ルーキー早川ら左腕がどう絡んでくるか。これまで先発陣を支えてきた則本昂も3人の存在でプレッシャーや責任感が軽減するはず。松井が抑えに戻ったのも大きなプラスになるでしょう。野手は各ポジションでいい争いをしてレベルアップしています。あとは石井新監督がどんな采配をするか、楽しみは多いですね」
2位のソフトバンクは「磐石と言えば磐石」と高評価だが、不安もあると指摘する。「抑えの森やモイネロら、リリーフ陣に勤続疲労が出始める頃かなと思います。先発ではムーアが抜け、千賀や東浜らが開幕に間に合わなかった。開幕ローテが本来の布陣ではないというところが、他チームにとっては付け入る隙があるとも言えるでしょう」
とはいえ、他を寄せ付けない選手層の厚さは何よりの強み。「誰かが抜けても代わりの選手が次々と出てくるチーム。先発に戻った高橋礼は本来のポジションだと思います。あとは武田がどういう働きをするか。とにかく野手も含めて、ベストメンバーが揃うまでに、他球団がどれだけソフトバンクを叩くことができるかが、ペナントレースの行方を左右することになると思います」。
3位争いは三つ巴、日本ハムはやや落ちると予測
3位から5位までの3チームは三つ巴の様相と分析。その中で頭ひとつ抜けているのが3位に予想した西武だ。「数年前まではリリーフが弱点でしたが、最後に増田がいて、その前にギャレット、平良と形ができた。先発も数が揃ってきており、今井が成長すれば、さらに状況は変わると思います。打線は水物とはいえ、メンバーは揃っている。森や山川ら主力も順調のようですし、年齢を重ねてきた中村や栗山をいかにうまく休ませながら、いいパフォーマンスを出せるようにできるかもカギになると思います」
古巣のロッテは4位に。投打に若手の台頭が見られるが、誤算も指摘する。「野手は藤原、安田らの若い選手がどれだけ頑張れるか。外野ではいい争いができているように思う。ただ、頼りになるはずだった新外国人のエチェバリアの不在は誤算。内野ならどこでも守れる選手で、二遊間の藤岡や中村らにはいい刺激になるはずでした。先発も石川の出遅れが痛い。開幕投手の二木、昨年の勝ち頭の美馬は計算できるが、石川がいないとローテに厚みが出ません」。
5位予想のオリックスは、投手陣のレベルアップによりAクラスも「圏内」と指摘。さらに広島から招聘したヘッドコーチにも注目した。「右の山本、山岡に左の田嶋と素晴らしい先発がいますが、シーズンを通してローテを守った経験がないのは不安材料でもあります。それでも、もともとリリーフの数が揃っているところに平野が復帰したことで、選択肢が増えた。野手は吉田尚を中心に、モヤとジョーンズの外国人がどれだけ機能するか。T-岡田もキーマンになる。あとは水本勝己さんがヘッドコーチに就任したことも大きいのではないでしょうか。アテネ五輪でブルペンキャッチャーを務めてくれましたが、ベンチで大声を出して、いい雰囲気を作ってくれた。これまでちょっとおとなしい印象だったチームを活気づけてくれるのではないかと思います」。
3チームからやや遅れを取る形での最下位は日本ハム。「投手も野手も、なかなか新しい選手が出てこない。中田や近藤、西川、大田らタイトルを取れるような選手はいるが、チームとしてうまく機能していないように見えます。有原が抜けたのも痛い。期待したいのは杉浦。今年は抑えになるようですが、役割を果たして宮西や堀らを加えた中継ぎ、抑えが固まってくれば、活路も見出せるでしょう」
2強の優勝争い、クライマックスシリーズ進出をかけての3チームの三つ巴という予想をした小林氏。ソフトバンクの日本シリーズ5連覇を阻むチームは現れるのか、注目のシーズンとなる。(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)