「地震10秒診断」「みんなで火山」…専門家おすすめの防災コンテンツ

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。3月8日(月)放送の「オピニオンCROSS neo」では、令和メディア研究所主宰で白鴎大学特任教授の下村健一さんが“東日本大震災後の防災体制”について述べました。

◆東日本大震災から10年、防災体制は着実に進化

旭化成(株)と旭化成ホームズ(株)、防災科学技術研究所は、旭化成グループが開発を進めているIoT防災情報システムに必要な地震計を、23区内の166棟のヘーベルハウスに設置したと発表。このシステムは、地震計の地震動観測データと防災科学技術研究所の知見を活かし、そのエリアに建つ全てのヘーベルハウスメゾンの建物被害レベルや液状化発生状況を推定するものです。

下村さんによると、セブン‐イレブンのATMには全て地震計がついているなど、「一家に一台、体温計・血圧計」ならぬ「一家に一台、地震計」の方向に向かっていると言い、「東日本大震災以降、10年で防災体制作りは進んでいる」と明言します。

「産官学民」、つまり産業界・役所・学会・民間の連携も進んでいると下村さん。例えば、「データ利活用協議会」には60社の企業と自治体、団体が加わり、お互いのデータを共有しています。また、大学などから研究者が100人以上参加し、それも地震のメカニズムや予測を行う「理学系」から建物被害を考える「工学系」、さらには復興や世間の対応などを考える「社会科学」などさまざまな分野が連携し始めており、下村さんは「これはとても大きな動き」と評します。

◆専門家も高く評価する、便利な防災コンテンツ

そのなかで、各所を繋ぐ役割を担う「SIP4D(基盤的防災情報流通ネットワーク)」という仕組みがあり、ある動画では熊本地震時に県ごとに集約しているデータを隣の県と統合するのにとても苦労したという話を交え、その重要性を熱弁しています。これは防災科研の成果発表会でも紹介された動画で、防災科研では成果をいかに広く人々に伝えるかにも重きを置いており、そのための動画コンテストを実施。そこで良いプレゼンをすると研究費が上乗せされるそうで、「みんな伝わる言葉に意識が向き始めている、これも10年の大きな変化」と下村さん。

その結果、みんなが情報を共有しようとさまざまなものが生まれてきています。例えば、「地震10秒診断」というコンテンツ。これは、今いる場所に今後どれぐらいの規模の地震が何%の確率で起きるのか想定してくれます。さらには全壊確率や出火の確率、電気・ガス・水などライフラインがどのぐらい止まってしまうのか、そして必要な物やお金などが算出できるため、下村さんは「(活用することで)すごくリアルに自分たちで備えができる」と高く評価。

「みんなで火山」というアプリは、みんながインプットした火山情報をリアルタイムにシェアできる機能が特徴。

気象情報を知ることができる「ソラチェク」は、空の状況ともに積雪量などもわかり、なかでも今注目の機能が、積もっている雪の重さの分布図。下村さんは「雪質によって重さは違う。雪下ろしに大事なのは深さではなく重さ。主に都会に住む子ども世代が実家の親世代の雪下ろしを心配し、アクセスしている」とその理由を解説します。

そして下村さんは、これらは全て「次の悲しみを生まないためにやっていること」と言い、「こういったものが進んでいることをぜひ知っていただきたいし、情報共有があるということを共有することが大事」と話していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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