【センバツ】〝左王国〟からの転換「背番号1」を右腕に託したNEW広島新庄8強ならず

花田(左)に声をかける捕手の北田

連勝が46で止まった。第93回選抜高校野球大会(甲子園)第8日の27日、第1試合で広島新庄(広島)は優勝候補・智弁学園(奈良)と激突。試合巧者の相手に2―5の逆転負け。昨秋の新チームに移行してから負けなしで聖地に乗り込んできたが、8強入りはならなかった。

強敵相手に中国王者は一歩も引かなかった。試合を動かしたのは2回だ。投打の軸・花田(3年)のチーム初安打から好機が生まれた。先頭の4番が左前打で出塁し、スイッチオン。相手暴投も絡んで二死二塁と得点圏に進むと、7番の平田(3年)が左前適時打を放ち先制した。

エースナンバーを背負うプロ注目右腕でもある花田は「良い流れで入れた」と、先制点に勇気をもらった。序盤から畳みかける攻撃が身上の智弁学園打線を相手に初回は三者凡退。続く2回も巧みなけん制で刺し、3人で終わらせた。

だが、2回り目に入った3回に優勝候補の主軸陣が牙を剥いた。失策もからんで同点に追いつかれると、大会注目スラッガーの前川と相手4番・山下(ともに3年)に連続適時打を浴びて一気にひっくり返された。花田は「3回を踏ん張れなかったことが反省点」と悔しがった。

4回からは広島新庄の「左のエース」である秋山(3年)がマウンドへ。花田から「後を頼む」と託された元U―15日本代表左腕は4回と6回に1点ずつを献上したが、味方の反撃を信じて粘り強く投げた。打線は8回に瀬尾(3年)の適時打で1点を返したが、反撃もそこまで。そのまま振り切られ春夏通じて初のベスト8を阻まれた。

それでもこれまでの広島新庄とはひと味違う姿は見せた。昨年4月に名将・迫田守昭前監督から宇多村監督に交代。迫田監督と言えば打線は左打者をずらりと並べ、エースはもちろん2番手投手も左腕という〝迫田式左攻め〟が代名詞だった。

しかし今大会の広島新庄は「右のエース」と先発オーダーに3人の右打者を並べる〝変革〟を見せた。

夏は左右2枚看板に、打線を強化して「NEW広島新庄」旋風を巻き起こす。

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