今宮のサヨナラ打で鷹が連勝!工藤監督が思わず唸った初回のスーパープレー

ナインに祝福される今宮(中央)

ソフトバンク・今宮が27日のロッテ戦(ペイペイ)で劇的な一打を放ち試合を決めた。2―2の同点で迎えた9回裏。一死二塁の好機でロッテ守護神・益田のシンカーを捉えた。

「外野がすごく前に来てたので、いいスイングをすれば越えてくれると思っていた。打った瞬間は越えたなという確信もありました」

快音とともにはじき返した打球は前進守備のセンターの頭をゆうゆうと越えるサヨナラ適時二塁打。ベンチから飛び出したナインの歓喜の輪に包まれた。

今季はコロナの影響で延長戦がなく9回打ち切り。無得点なら引き分けとなる最後の攻撃で得点を奪い、チームに開幕連勝スタートをもたらした。

2点を追いかける6回の打席でも右中間を破る二塁打を放ちグラシアルの適時打で生還。反撃開始の一打を放った。

バットで勝利をけん引した背番号6。だが、何よりも大きかったのが初回に飛び出した遊撃でのスーパープレーだった。

先発・高橋礼が押し出しを含む4四死球の大乱調で1点を先制され、なおも二死満塁の大ピンチ。初球を捉えた鳥谷の当たりは三遊間を抜けようかという打球だった。しかし、今宮は深いところで飛びつくと、態勢を整えないまま回転しながら一塁へ送球。驚異的な身体能力で間一髪のアウトにした。

12球団を見渡しても今宮にしかできないであろうビッグプレーに工藤監督は「あれがなかったら一方的になってたと思う。あれだけでも勝てばヒーローと思えるプレーだった」と最敬礼。

今宮は「結果的に終わった後で見ると、あの守りは大きかったと思う。自分の体の状態がいいし、しっかり動けている。判断ができているというところだと思います」と笑みを浮かべた。

ここ数年の悔しさをバネに躍動している。不動の遊撃手を担ってきた攻守の要も故障に泣かされ2018年以降は規定打席に到達できていない。

昨季は左ふくらはぎを痛めるなど43試合の出場にとどまった。若手が自らの穴を埋めてチームが日本一になり、うれしさとともに悔しさや歯がゆさも味わった。

前日の開幕戦では第1打席で一発を放ち、ベンチに向かって珍しくガッツポーズ。熱い思いが溢れた。「今年にかける思いはみんな持っていると思うが、僕は3年間離脱して一年間戦えていない」。今季は3年分の借りを返す活躍を見せるつもりでいる。

工藤監督は今宮の既往歴を考慮して、状態を見て休ませながらの起用も検討している。ただ、今宮が目指すのはもちろんシーズンを通しての大暴れだ。「僕はすべて出るつもりでいます。何かあった時は考えないといけない。また繰り返しになったりはしたくないので。行けるうちはすべて行って…。まあでも、すべて出るつもりですけどね」と強い思いをにじませた。

これでチームは開幕連勝スタート。最強鷹の攻守の要・今宮がその中心にいる。

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