3戦2発はともに“超難球”打ち…「私もそうだった」西武・辻監督が認めた森の天才性

西武・森友哉【写真:荒川祐史】

開幕戦では山本のカットボール、第2戦では山岡のインハイ速球を右翼席へ

■西武 5-1 オリックス(28日・メットライフ)

西武は28日、本拠地メットライフドームで行われたオリックス戦に5-1で快勝し、開幕3連戦に2勝1敗で勝ち越した。森友哉捕手が相手先発の山岡泰輔投手から先制2号2ラン。26日の開幕戦でも山本由伸投手から値千金の1号ソロを打っており、オリックスが誇る難攻不落の2枚看板をひとりで沈めた。

初回1死二塁の先制機で打席に入った森は、カウント1-1から山岡が投じた内角高めの145キロの速球を振り抜き、右翼席へ放り込んだ。辻発彦監督は「難しい所(コース)を打つのが得意なバッター。私も(現役時代は)そうでした」と苦笑交じりに評した。

実際、インハイは打者の目に最も近く、他のコースよりも速く見える。「内角高めが好きという打者はほぼ、いない」とも言われる。にも関わらず、早いカウントから思い切り振っていったのだから、並々ならぬ技術と神経の持ち主だ。森自身も「ちょっと詰まったけれど、芯でとらえ、いい形でスイングできた」とうなずいた。

開幕戦で山本から打った右越えソロも、膝元の145キロの鋭いカットボールで、極めて難しい球だった。森は「空振りしたかなと思ったけど、打っていました」と独特の感覚を表現。辻監督は「天才だね」と最敬礼していた。

3戦で2安打も「決して甘くないコースの球をフェアゾーンに通せている」

開幕3連戦で放った安打は、この本塁打2本のみ。打率は.222(9打数2安打3四球)に過ぎないが、森は「決して甘くないコースの球をフェアゾーンに通せているので、状態はいいと思う」と手応えを感じている。

一方で、周囲からは「打撃の調子がリードに影響するタイプの捕手」との声もある。一昨年は打率.329で首位打者に輝いたが、コロナ禍で難しい調整を強いられた昨季は一転して.251と低迷。同時に捕手としてリードにも悩み、岡田や柘植にスタメンマスクを譲るケースも増えた。

昨年8月27日の日本ハム戦では、途中出場して逆転され、その後に山川のサヨナラ打で再逆転勝ちを収めると、ふがいなさと安堵感から号泣した。ある意味で、昨季を象徴するシーンだった。今季開幕前に「自分が正捕手だ、という気持ちで引っ張っていきたい」と宣言した裏には、そういう経緯と決意がある。

打撃では、昨季は安打を欲しがるあまり当てにいっていたと反省。今季は「しっかりスイングすることを心掛けて、その中でボール球を見極められている」とうなずく。数少ない“強打の捕手”としてプレーするやりがいを問われると、「まだ開幕して3試合なので、わからない。シーズンを終えた時に、どう感じるかだと思います。優勝すれば心から喜べるだろうし、Bクラスならまだまだということになる」と表情を引き締めた。リーグ3連覇を逃した獅子軍団にあって、誰よりも悔しさを噛み殺し、リベンジを心に誓っているのがこの男だろう。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

© 株式会社Creative2