【センバツ】福岡大大濠「壁」に阻まれ初のベスト4進出ならず エース毛利「夏に歴史作りたい」

敗れても爽やかな表情だったエース毛利(左)

力の差を見せつけられた。福岡大大濠(福岡)は「第93回選抜高校野球大会」(甲子園)10日目の29日、第2試合で東海大相模(神奈川)に0―8と完敗。勝てば同校初の準決勝進出だったが、ベスト8の「壁」は突破できなかった。

序盤から苦しい展開を強いられた。この日、先発マウンドに立ったのはエースの毛利海大(3年)ではなく馬場拓海(2年)。初回から相手の強力打線の猛攻を浴びて2失点すると続く2回も一死から2ランを被弾し、ここで2番手のエース右腕にスイッチとなった。

バトンを託された毛利も交代早々は東海大相模の勢いを止められず3連打を食らうなど、この回だけで2失点。続く3回も連打で失点を重ね、昨秋の大会から未経験だったリリーフ登板はうまく機能しなかった。

「最初のほうはつかまってしまった。自分の持ち味である真っ直ぐが簡単に弾き返された」

それでも3イニング目となる4回以降は徐々に本来のリズムをつかみ、本領を発揮。終盤の8回こそ1点を奪われたもののリードを広げられても最後まで集中力を切らさずに渾身の120球を投げ切った。

反撃を試みた打線も東海大相模のエース左腕・石田(3年)の前に14三振を喫して僅か3安打に抑え込まれ、終わってみれば三塁すら踏むことができなかった。スコア的には大差をつけられての完敗だが、エースの心中には納得できる好材料もあった。

「相模さんでも低めに集めたツーシームやチェンジアップは空ぶったり、打ち取れたりすることができたので、その辺りは自信になった。自分のピッチングはできていたし、今日は甲子園に来て一番良かったのかなと思う」

2017年に続きチームはまたしても準々決勝で敗れ去った。その悔しさを踏まえた上でエースは最後に「甲子園が決まってから前回超えられなかったベスト8の壁を越えようと全員話していた。それが叶わないということはチームの力が足りないということ。もう1回夏に戻ってきてベスト8より上を目指して大濠の歴史を作りたい」と力強く言い切った。

八木啓伸監督(43)も「まだまだ力不足と感じた。夏に向け、しっかり練習したい」と総括した。

立ちはだかった「壁」はとてつもなくぶ厚かったが、福岡大大濠の闘志はいささかも衰えていない。それが証拠に試合後は誰もが気持ちを切り替え、夏の大会でのリベンジを早々と誓っていた。

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