新潟県妙高市が地域活性化起業人制度を活用し、東武トップツアーズ株式会社(東京都)の岩見義明課長に辞令交付、県内4例目

委嘱状を手にする岩見義明地域創生戦略監(左)と妙高市の入村明市長

新潟県妙高市は1日、総務省の地域活性化起業人制度を活用し、東武トップツアーズ株式会社(東京都)と社員の派遣に関する協定を締結した。同日、東武トップツアーズ事業企画部の岩見義明地域活性化チーム専門課長(新潟市出身)に対し、妙高市から辞令が交付された。地域活性化起業人制度の活用は妙高市では初の取り組みで、新潟県内では糸魚川市などに次いで4例目。

岩見さんは東武トップツアーズに社員としての籍を残したまま、妙高市企画政策課の地域創出戦略監として東京を拠点に活動する。いわば妙高市の出張所として、東京本社の企業や自治体との協業や起業を行う。起業に関しては防災関係のほか、企業版ふるさと納税、木から布を作るプロジェクトも進行しており、まずは新会社1社を設立するのが目標だという。常駐はせず、妙高市役所には月に数回ほど打ち合わせに訪れる予定。任期は2年間。

妙高市は民間の知見を取り入れ、関係人口の拡大などについて加速させたいという狙いがあり、岩見地域創出戦略監は農林水産省が推進している農泊やワーケーションで妙高市とは3年ほどの付き合いがあるという。

妙高市の入村明市長は「妙高市は課題が山積している。いろいろと政策を行っているが、役所の中では解決できないこともある。今までの経験を活かして、交通整理的なことや指導をしてもらいたい」と話した。

岩見地域創出戦略監は「妙高市のイメージは決断が早いこと、ロケーションがいいこと、食べ物が美味しいことだ。都心の問題を解決するためにワーケーションにも力を入れる。また、北信越エリアは可能性があり、2025年の大阪万博では日本だけでなく、海外にも妙高市をアピールしたい」と話した。

岩見地域創出戦略監は東海大学工学部出身の59歳。1985年に株式会社東芝プロセスソフトウエア(現株式会社東芝ソリューション)入社し、東京電力柏崎刈羽原子力発電所などのシステムエンジニアに従事。インバウンドの新規事業立ち上げも担当した。その後、2016年に現在の東武トップツアーズ株式会社へ転職、2020年4月から総務省の外郭団体・一般財団法人地域活性化センターへ出向し、地方創生を担当していた。任期途中で妙高市から打診があったため、今回の辞令となった。

地域活性化起業人制度とは、地方公共団体が3大都市圏に所在する民間企業などの社員を一定期間受け入れ、そのノウハウを活かして地域独自の魅力や価値の向上などにつながる業務に従事する総務省の人材派遣制度のこと。

取材に応える岩見義明地域創生戦略監

© にいがた経済新聞