新潟県糸魚川市の地すべり現場に帰宅した県道東側地区住民を対象に避難訓練を実施

高台へ避難してくる住民

新潟県糸魚川市で3月4日未明に発生した来海沢地区の地すべりで発生から約1か月となる3日、午前8時に一部避難勧告が解除された県道東側地区の15世帯21人を対象に来海沢地区で地すべりが発生した想定で避難訓練が行われた。

この日は8時過ぎに避難住民が自宅へ戻り、午後2時ちょうどに5か所のサイレンが鳴った後、登録者に警戒メールが届く仕組みになっており、それらを確認したあと住民は傾斜がきつい坂道を登り、高台にある1次避難場所に集合した。1人ずつ体温測定し、全員が揃うと来海沢地区の神喰重信区長が糸魚川市消防本部に電話で報告した。

神喰区長は「西側の人の中には家がなくなってしまった人もいるので、手放しでは喜べないが、ここで生まれ育ったのでやっぱり家に帰って来れてよかったと思う。しかし、まだ、7万リューベ(1リューベとは縦・横・高さがすべて1メートルの箱の体積と同じ)の土砂があるので心配だ」と話していた。

この日、自宅に帰宅し、避難訓練に参加した女性住民は「食料がなかったのでスーパーに買い物に行った。避難していた1か月の間で雪が消えていてびっくりした。これから畑をやります」と喜んでいた。

避難訓練後に報道陣の取材に応えた糸魚川市の米田徹市長は「住民のみなさんの顔が避難所とは違ったが、一部の解除なので複雑な気持ちだ。今日は天気がいいので、全面解除のように思ってしまうが、実際の現場を見ると災害の怖さを再確認するのではないか」と話し、今後、梅雨や集中豪雨の可能性を控えていることについては、「毎年見受けられるので頭に入れておかなければいけない。地すべりにあったところは余計顕著に現れるので、新潟県と連携しながら対応を考えていきたい」と話した。

神喰区長によると、県道西側の住民のほとんどは糸魚川市が無償提供した糸魚川市内の市営住宅へ移り住んだという。なお、糸魚川市は3月30日の第3回避難者説明会で避難勧告の一部解除を発表していた。

糸魚川市消防本部へ報告する来海沢地区の神喰重信区長

取材に応じる糸魚川市の米田徹市長

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