デビューの日

 鳴り物入りでプロの世界に飛び込み「3番・サード」で迎えた開幕戦。マウンドに立っていたのは球界を代表する左腕・金田正一投手で、待っていたのは「4打席4三振」の手厳しいプロの洗礼▲のちの「ミスタープロ野球」長嶋茂雄さんのデビュー戦の広く知られるエピソードだ。4打席で投じられた19球のうち、バットに当たったのは1球だけ。しかし、四つの三振はどれも豪快なフルスイングの空振りで、見逃しは一つもなかった…と長嶋さんの大器ぶりが語られる▲このゲームが行われたのが1958年の4月5日。あす5日はそんな国民的ヒーローの誕生にちなんだ「デビューの日」なのだそう▲今年は月曜。新入社員のみんなは初めて体験する「社会人の1週間」が始まる。あっという間に過ぎていくだろうか、イヤになるほど長いだろうか。転勤や異動で職場が変わり、席替えや引き継ぎで1日と2日はバタバタ…そんな皆さんも多かろう▲この週末で一息入っていよいよ本格始動。正真正銘の新人も畑違いの部署に替わったオールドルーキーも「失敗するなら今のうち」の積極性を忘れずに。周囲は新人の豪快な空振りを時には笑顔で見守る余裕を▲仕事は楽しいことばかりでできてはいない。でも、楽しそうに働く人が増えると職場が明るくなる。(智)

 


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