長崎明治屋ハム100周年 創業時のドイツ式製法継承

「長崎ケーゼ」など主力商品をPRする明治屋商店の田川社長=長崎市、明治屋商店

 「長崎明治屋ハム」として親しまれている食肉加工・精肉卸業の明治屋商店(長崎市上町)が今年、創業100周年を迎えた。ドイツ式の製法にこだわったハムやソーセージを贈答や学校給食などに幅広く供給。新型コロナウイルス禍の中でも「皆さんへの恩返しに」と新商品開発や直売所での割り引きなどの記念イベントを展開している。
 3代目の田川俊幸社長(60)によると、1921(大正10)年、祖父義雄さんが精肉卸を創業。数年後、北九州市の職人からドイツ式を学び、食肉加工をスタートさせた。
 ドイツ式は、現地調達の新鮮な材料を使い、無駄なものを混ぜずに原料の食感を重視する。同社も義雄さん直筆のレシピを2代目の父隆之さんから継承。豚肉を塩水の中で1週間から10日ほど熟成させ、一般的に増量に使う卵白や水分を入れず、添加物を控える製法を守ってきた。
 2007年には本場ドイツで3年に1度開かれるドイツ国際食肉産業見本市(IFFA)に初出品し金賞を獲得。以降、受賞したハム、ソーセージは14品。贈答用や県内のホテル、レストラン向けで主力商品になっている。波佐見焼の器にソーセージの生地を入れて焼き上げた「長崎ケーゼ」(350グラム、3240円)は女性誌が紹介し、通信販売で人気。コロナ禍で商談会が減っても年間5千個を売り上げた。
 100周年を記念し、ケーゼの味を5種類に増やしてミニサイズ(180グラム、3個組6480円、5個組1万800円)を発売。毎月10、20日には「感謝祭」と銘打ち、本社の直売所で20%割り引くほか、復刻商品を2カ月に1種類のペースで売り出している。子ども食堂にも月1回食材提供している。田川社長は「変わらない、変えないのがうちの価値。これからもお客さまに納得いただける商品をつくっていきたい」と話した。

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