コロナで主力離脱の巨人 癒やしの「将棋盤」没収の危機

コロナ陽性判定で離脱した丸(奥)。今年2月のキャンプ中には炭谷(手前)との将棋対決で沸かせてくれたが…

新型コロナショックはまだ尾を引きそうだ。巨人は丸佳浩外野手(31)ら4選手が陽性判定を受け、主力勢を欠いたまま6日からリーグ上位の阪神、広島との6連戦に突入する。戦力ダウンは否めず、チーム一丸となってどうにかこの窮地を乗り切っていくしかない。そんな中、ナインの息抜きの場が〝没収危機〟に直面している。

巨人に激震が走ったのは4日のヤクルト戦(東京ドーム)だった。丸と中島宏之内野手(38)、若林晃弘内野手(27)の感染が判明し、その後にゼラス・ウィーラー内野手(34)の陽性も確定した。球団によると4選手に新型コロナ特有の症状は見られないというが、当面の間は戦列復帰がかなわない状況だ。

まだ開幕9試合を終えたばかりで、6日からは首位の阪神、9日から3位・広島とのビジター6連戦。原辰徳監督(62)は「どういう状況になっても我々は前を向いて戦う」と悲観ばかりはしていないが、陽性者が出てしまった以上はすべてがこれまで通りとはならなそうだ。

ウィーラーを除く3選手の陽性が判明した時点で、球団は「接触頻度が高かった」との独自判断で亀井善行外野手(38)、増田大輝内野手(27)、北村拓己内野手(25)の3選手をチームから隔離。NPBの「特例2021」に基づいて出場選手登録を抹消した。この3人については、5日に保健所から濃厚接触者とは認定されず、近日中に再登録される見込みとなった。一方、チームに同行しているスポーツ栄養士の一人は中島、丸らとの濃厚接触者として認定された。

ひとまず亀井、増田大、北村の早期復帰が可能となったのは幸いだが、そもそも3選手が隔離された理由は球団側の厳格な判断。遠征中に陽性者と選手宿舎から名古屋駅までタクシーに同乗したことに加え、10分程度、ロッカールームでお互いにマスクをしながら将棋を指していた点だった。球団側は「万一に備えて」と念には念を入れての措置だったが、新型コロナ禍が終息しない限りは今後も同様のケースは十分起こり得る。

球団関係者は「こういう措置を取ったからには、将棋も『今まで通りでいいよ』とはならないかもしれない」と打ち明けた。Gナインの間では、試合前の将棋対決がちょっとした楽しみでもあった。昨年はチーム内で「竜王」の名をほしいままにした炭谷をはじめ、将棋にハマった丸がユーチューブなどを駆使して猛勉強。今春キャンプ中には球団が「G王戦」と銘打ち、公式インスタライブで2人のガチンコ対局を生配信し、丸が初代王者に輝くなど盛り上がりをみせていたのだが…。

ただでさえ外出制限などの厳しい感染予防を遵守している選手たち。気分転換の意味合いも果たしていた将棋まで奪われてしまうのか――。

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