「うちは今、力がない」西武・辻監督ポツリ…3連敗で首位陥落も見出す一筋の光明

西武・辻発彦監督【写真:荒川祐史】

プロ初登板初先発の20歳右腕・上間が好投「素晴らしい闘志」

■楽天 4ー0 西武(8日・メットライフ)

2年ぶりのV奪回を目指す西武が、本拠地メットライフドームで楽天に3タテを食らった。単独首位で6~8日の楽天3連戦に突入したが、順位が入れ替わり一気に2ゲーム差をつけられた。故障者続出で戦力が大幅にダウンしているのが現状で、辻発彦監督は「力負けです。うちは今、力がない状態」と白旗。「次に会う時には借りを返せるように」とリベンジを誓ったが、窮状から巻き返せるか――。

光明がないわけではない。8日の3戦目には、2年目の20歳右腕・上間永遠(うえま・とわ)投手がプロ初登板初先発。手薄な先発陣を象徴する苦肉の策だったが、5回までは茂木の先制ソロによる1点のみに抑えていた。ストレートの最速は145キロ止まりも、カットボールやシンカー、スライダーを駆使して凡打を山を築いた。4回には中前打で出塁した小深田を直後に牽制球で刺し、総合力の高さもうかがわせた。

やや疲れの見えた6回、先頭の辰己に右翼席へ放り込まれ、なおも1死一、二塁のピンチを背負ったところで2番手の佐野にマウンドを譲った。5回2/3を投げ、5安打5奪三振2四球。佐野が茂木に2点二塁打を許したため、上間に計4失点が記録されたが、20歳の印象はすこぶる良い。

楽天戦に先発した西武・上間永遠【写真:宮脇広久】

打線は上間を援護できず…待ち遠しい助っ人陣の合流

辻監督は「素晴らしい闘志。また使えるなと感じました。しっかりインコースに投げられていた。ああいうことができれば、あれくらいのスピードでも抑えられる」とうなずいた。上間は「初めての1軍での登板だったので、体が(1軍のマウンドに)慣れていないところがありました。次はもう少し慣れると思います」と自信をつかんだ様子だ。

打線はそんな上間を援護できなかった、相手先発の瀧中に5回までパーフェクト、結局7回1安打1死球無得点に封じられ、救援の酒居、松井も打てず零封負けを喫した。開幕早々、山川穂高、栗山巧、外崎修汰が故障で相次ぎ戦線離脱し、開幕スタメンの4、5、6番がいない。前日の2戦目に敗れた時点で、辻監督が口にした「このメンバーで、よう頑張っている。上出来ですよ。仮に3連敗、4連敗しても踏ん張るしかない。外国人選手が参加できるまで、踏ん張るしかない」という言葉は、紛れもない本音だろう。

コロナ禍で来日が遅れていたザック・ニール投手、コーリー・スパンジェンバーグ内野手、エルネスト・メヒア内野手、新助っ人左腕マット・ダーモディ投手がようやく2日に入国。チームの現状では、2週間の隔離期間がもどかしい。

この日の上間の投球や、打率.353と好調でリーグ最多の4盗塁をマークしているドラフト4位ルーキー・若林楽人外野手の活躍などは明るい材料。戦力が整うまで、首位をうかがえる位置に踏みとどまるための戦いが続く。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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