駅そばサブスク、百円乗り放題券… 通勤定期所有でお得に 利用促進へ鉄道各社が新サービス

東急がサービス実験中の「DENTO」。無料通信アプリLINE(ライン)に友達登録すると、利用できる

 人口減社会で将来的に鉄道利用者が漸減していくことを見据え、鉄道各社が駅や沿線の魅力を高める取り組みを進めている。新型コロナウイルスの影響で利用者が減った通勤定期券の所有者を対象に新たなサービスを試行するなど、鉄道利用の新たなきっかけづくりを模索している。

 東急(東京都)は今年1月中旬から4月28日までの約3カ月半、通勤で電車を利用する人を対象に、移動サービスや娯楽施設を割安に利用できるサービス「DENTO(デント)」を実験的に行っている。無料通信アプリLINE(ライン)を使い、利用したいサービスを選択して購入する仕組み。

 東急電鉄(同)では、新型コロナの影響で昨年4~12月の輸送人員が前年同期比33.9%減。通勤定期券の購入者は27.9%減だった。そこで、定期券を所有する価値を高めようと、同サービスの中に、通勤定期券所有者のみが購入できる「100円乗り放題チケット」を用意。全線が乗り放題の東急線ワンデーパス(大人680円)と東急バス一日乗車券(同520円)が各100円で購入できる。

 「破格の料金設定。これなら定期を持っていた方がいい、と思ってもらえるのではないか」と東急の担当者。同社はサービス実験を重ね、実装化を検討するという。

 JR東日本(同)は、通勤定期券の利用者に対し、コーヒーや駅そばが上野、秋葉原、八王子の東京都内各駅で定額で食べられるサブスクリプションサービスを今年6月に試行する予定。川崎市内にある3駅・7カ所のシェアオフィスを割り引きで利用できるサービスも始める。

 また同社は早ければ5月にも、通販サイトのショールームを東京駅構内に設置し、その後JR東のショッピングサイト「JRE MALL」で購入した商品を駅改札で受け取れるサービスを武蔵境駅(東京都武蔵野市)で始める予定だ。広報担当者は「電車の利用だけでなく、生活におけるサービスの利便性も向上していきたい」としている。

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