スタートダッシュ成功の阪神 得点力不足解消の鍵を握る糸原健斗の働き

阪神・糸原健斗【写真:荒川祐史】

15試合を消化して11勝4敗の貯金7と好調の阪神

3月26日に開幕したプロ野球はここまで各球団が5カードずつを消化し、対戦が一巡した。セ・リーグでは阪神が11勝4敗の貯金7、パ・リーグは楽天が9勝4敗2分の貯金5でそれぞれ首位に立っている。

2位の広島に2.5ゲーム差をつけ、スタートダッシュに成功した阪神。開幕から15試合、投打がしっかりと噛み合った戦いを繰り広げている。ここまで65得点はリーグ最多で、一方の35失点もリーグ最少。これまでの武器であった投手力は健在で、課題とされた得点力も、ここまでは好結果を残している。

投手陣は今季も奮闘している。チーム防御率2.40は中日と並び12球団でトップ。ここまで2.50を切っているのは阪神と中日の2球団だけだ。先発では助っ人のガンケルが3戦3勝、防御率0.96、青柳が3試合で2勝0敗、防御率1.35とするなど、先発陣は揃って好調。リリーフ陣も守護神のスアレス、セットアッパーの岩崎、岩貞と安定している。

充実の投手陣は今季も健在でチーム防御率はリーグトップタイ

阪神は昨季も巨人と遜色ないリーグ2位のチーム防御率3.35をマークしており、投手陣はチームにとっての武器だった。今季もその投手力は健在。藤浪やルーキーの伊藤らも出てきており、昨季よりも一層、充実しているように映る。

昨季リーグ5位のチーム打率.246だった打線が課題とされたが、ここまで65得点はリーグ1位。チーム打率.254も広島に次ぐリーグ2位となっている。

この打線の面でいま、重要な働きを見せているのが、2番に据えられている糸原健斗内野手の存在だろう。全試合で「2番・二塁」でスタメン出場し、打率.410、1本塁打8打点2盗塁と打線を牽引している。開幕から11試合連続で安打を放ち、その間チームは8勝3敗と好スタートを切った。

昨季は苦戦の見られた変化球に対し、今季は対応できている

ここまでの糸原の働きを、セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTAのデータを用いて分析してみよう。

球種別の得点増減を見てみると、昨季は「-1.9」だったカットボール(wCT)に対して、今季はここまで「1.7」と数値が改善。「-2.0」だったスプリット系(wSF)は「0.4」に、「-0.9」だったチェンジアップに対しても「0.6」とプラスに転じており、去年、苦戦した球種に対して、ここまでは対応できている様子が伺える。

また、ストライクゾーン内のボールに対してスイングを試みる割合を示す「Z-Swing%」が昨季の58.7%から10%以上増え、69.4%となっており、ストライク球に対して積極的にバットを振っていっている傾向が見て取れる。

昨季はなかなか2番を固定できていなかった阪神だが、今季は糸原がその役割をしっかりとこなしている。1番の近本と共に上位打線が機能し、その後を打つサンズの好調も相まって得点が増えている。サンズがリーグトップの15打点を叩き出している点からも、打線の歯車が噛み合っていることがわかる。(Full-Count編集部)

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