野焼き春景色 高千穂五ケ所高原

希少動植物を育む五ケ所高原で行われた野焼き(甲斐英明さん提供)

 高千穂町五ケ所の五ケ所高原(標高約800メートル)で8日、春の風物詩となっている野焼きが行われた。
 草花の芽吹きを促し、害虫を駆除する目的で五ケ所公民館(富高英治館長)が実施。同高原で見られるヒメユリ、ヒメシロチョウ、ゴマシジミなどの希少動植物保護にも役立っている。
 風がやみ、炎が見えやすくなる夕方に合わせ、地域住民25人が集合。一気に燃え広がらないよう、丘の上の風下側からガスバーナーで着火すると、パチパチと音を立てて赤い炎が上がった。参加者の多くは、スギの葉などを束ねて竹にくくり付けた火消し棒で、火の勢いを管理した。 真っ黒に焦げた草原からは、1週間ほどで草花が芽吹き、鮮やかな緑へと変わっていくという。参加した五ケ所高原ゴマ姫の草原を守る会の甲斐英明会長(72)は「人手も経験も必要だが、昔から続く野焼きを今後も続け、希少動植物を育む広大な草原を守っていきたい」と話した。

© 株式会社宮崎日日新聞社