起業、定住に三浦市はいかが? 移り住んだ夫婦が冊子で魅力紹介

企画・編集を担当した三浦市の移住・定住促進冊子「MIURA」を手にするミネシンゴさん(左)と三根かよこさん夫妻=三浦市三崎

 人口減少が続く神奈川県三浦市が、移住・定住促進冊子「MIURA」を発行した。企画・編集を担当したのは、同市に移住した夫婦が営む出版社。自分たちの体験を踏まえ、特に独立して開業を目指す人向けに三浦の魅力を紹介している。

 夫のミネシンゴさん(36)と妻の三根かよこさん(34)は2017年に逗子市から移住した。2人とも会社員時代から出版業に携わっており、15年に「アタシ社」を起業した。住まいが手狭になり、東京に行く機会も少なくなったことから知人の紹介で三浦市への移住を決めたという。

 今回の冊子編集は市のプロポーザルに応募し、企画が選ばれた。人口減で都市間競争が激しい中、「他自治体と同じことを訴えても勝てない」とデザイン担当のかよこさん。観光客や一次産業従事者が多く、地価が安いという三浦のメリットが生かせる起業者やフリーランスを読者に想定し、内容を考えた。

 念願の飲食店開業を目指す女性、リモートワークしながら港町で暮らす新婚夫婦、小さな宿を営む夫婦など6組の移住者を写真入りで紹介。市内の不動産事情や物件、移住者が開業した店舗なども掲載している。

 人脈を生かし、表紙のデザインに著名なイラストレーターを起用するなど見栄えにも凝った。「利益は全く出ないが、大好きなまちなので素晴らしいものを残したかった」(シンゴさん)との思いからだ。吉田英男市長は「移住者ならではの視点が生かされ、新しい発見にもつながる」と感謝している。

 冊子はB5判55ページ、無料。1万部発行し、市役所などに置いてあるほか、希望者には郵送する。市のホームページでも閲覧できる。問い合わせは、市政策課電話046(882)1111(代表)。

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