藤波辰爾が5月9日にデビュー50周年 生涯「ネバー・ギブアップ」を貫き67歳の「WWE参戦」熱望

インタビューに答える藤波辰爾

【The インタビュー~本音を激白~(26)】5月9日にデビュー50周年を迎える“炎の飛龍”藤波辰爾(67=ドラディション)が連載「The インタビュー」第26回に登場。自身のキャリアを振り返るとともに、約1年をかけて日本全国を回る50周年ツアーを控えた心境を激白した。師匠である“燃える闘魂”アントニオ猪木氏(78)と、永遠のライバルでミスタープロレスこと天龍源一郎(71)には熱い復活エールを送り、まさかの「WWE参戦」も見据えている。

――一度も引退せず50周年を迎えることは、マット界では前例がない

藤波 16歳でこの世界に入り、節目節目で大事な出会いがあった。その経験を踏まえて今の自分がいる。後楽園(16日)は1年半ぶりですが、ファンの皆さんのイメージを崩さないようにコンディションづくりだけは欠かさずにやってきた。50年目という今年は自分にとっても特別な年になるでしょうね。

――5月から50周年ツアーを計画する

藤波 北は北海道から南は沖縄まで、1年かけて自分の50年間で思い入れの深い場所を回りたい。3シリーズほどになりますかね。大会ごとに外国人も含めて自分とゆかりのある選手を呼びたいと思っています。

――改めて原点は

藤波 プロレスラーになりたくて中学を卒業した後、別府温泉に日本プロレスの北沢(幹之)さんが来ているという噂を聞いて(故郷で現在の大分・国東市から)自転車で3時間かけて探し当てたんだよね。プロレスラーになりたいと直訴したら、巡業に連れて行ってくれて、北沢さんがやっていた猪木さんの付け人役にしてくれたんです。周囲は「誰だ、こいつは?」という目でしたけど、そのまま日本プロレスに入ることになった。北沢さんから猪木さんという出会いは一番最初の大きな節目ですよね。

――当時は故ジャイアント馬場さんと猪木さんがエースの時代だ

藤波 馬場さんは目指せないんですよ。あの天性の体格(209センチ、135キロ)ですから。となると自分は内面からガーッと燃えてくるような闘魂を前面に出した猪木さんを目指すしかない。とはいえ、猪木さんの体格や筋肉の質も天性のものでしたけどね。もともと僕は猪木さんに憧れてプロレスラーになったんだけど、前田(日明=現リングスCEO)や高田(延彦)もそう。誰もがカッコいい猪木さんのようになりたいと思っていた。それと20代前半でカール・ゴッチさんの道場に住み込んで修行した2年間があったから、50年間もやってこれた。後の長州(力)との戦いもゴッチさんに鍛えられたから受け止めることができた。

――猪木氏は闘病中だ

藤波 だんだん元気になってきているようですよ。少し安心しています。最初は驚いたけど、動画でも回復している様子が分かりますからね。あの猪木さんが病気なんかに負けるはずがない。必ずもう一度猪木さんとリング上で並べる日が来ると信じています。

――激闘を展開した天龍も入院中だ

藤波 天龍も元気になってきているようで安心している。「病院なんか入っているガラじゃないだろう、早く出てこいよ」と言いたい(笑い)。

――50周年ツアーにこの2人は欠かせない

藤波(来年5月の)ファイナルの大会には猪木さん、坂口(征二)さん(新日本プロレス相談役)、天龍、長州と全員でリングに立ちたい。それが夢です。猪木さんも天龍もその日まで元気になってリング上で再会できると信じています。

――2015年にWWE殿堂入り。50周年と聞けばWWEも動く可能性も

藤波 昔、戦ったハルク・ホーガンやリック・フレアーがまだ登場してますね。自分は殿堂入り選手としての契約があるから米国で他団体は無理だけど、WWEが呼んでくれるならぜひ試合がしたい。今まで考えたことはなかったけど、少しときめいてきましたよ。この記事がビンス・マクマホン(会長=75)の耳に入れば面白いね(笑い)。俺が現役のまま試合をしたら、昔のライバルは全員驚くでしょうね。

――50周年以降は

藤波 そこからが新しいスタートになるでしょうね。引退という言葉は考えていません。日々鍛錬を続け、可能な限りリングに上がり続けたい。生涯「ネバー・ギブアップ」ですよ!

【魔界倶楽部が復活】ドラディションは16日に約1年半ぶりとなる後楽園大会を開催。ここで50周年ツアーの第1弾シリーズ日程が発表される見込みだ。藤波は越中詩郎(62)、高岩竜一(48)と組んで長井満也(52)、村上和成(47)、魔界2号組と対戦。長井のデビュー30周年記念大会として行われ、2002年から新日本プロレスを恐怖のどん底に叩き込んだ魔界倶楽部が復活する。藤波は「まさかうちのリングで魔界倶楽部が復活するとは誰も思わなかったでしょう。リング上はファンにとって昔の玉手箱を開けられる貴重な場所なんですよ」と意気込みを語った。

☆ふじなみ・たつみ 本名・藤波辰巳。1953年12月28日生まれ。大分・国東市出身。70年に日本プロレスに入門し、71年5月9日の北沢幹之戦でデビューした。72年3月に旗揚げした新日本プロレスに参加。78年1月にWWWF(現WWE)ジュニアヘビー級王座を奪取。81年にヘビー級に転向し、88年5月にIWGPヘビー級王座、91年3月にはNWA王座に就いた。2006年6月に新日本を退団し、08年にドラディション旗揚げ。15年3月にWWE殿堂入り。必殺技は飛龍原爆固め、飛龍裸絞め。185センチ、108キロ。

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