奇声発して高速移動! TikTokで拡散「スキンウォーカー」の正体

2014年に米ニュース「KRQE NEWS13」で放送されたスキンウォーカー(KRQEのユーチューブチャンネルから)

動画投稿アプリ「TikTok」で、ナゾの二足歩行生物の映像が拡散。アメリカ先住民の間で伝わる「スキンウォーカー」など諸説挙がり、不気味がられている。その正体や日本の妖怪との意外な接点を専門家が解説した。

その動画は先日、投稿された。夜道を走る車から、懐中電灯で辺りの草むらを照らしながら撮ったもの。ムーディーなBGMが流れる車内から、撮影しているのは助手席の男性で、運転手に「ちょっと待って。大きなシカか何かがいた」と言うシーンから始まる。

「待って待って。あれ、シカか?」と撮影者がカメラをズームしていると、運転手が「あれは何だ!?」と叫ぶ。すると十数メートル離れた草むらから、動物の鳴き声のような怪音とともに、白っぽく痩せた人間のような生物が慌ただしく飛び出し、ものすごい勢いで車に向かって走りだす。ここで10秒間の動画は突然終わる。

投稿者はこの動画にただ「怖い」とコメントを付けているだけで、撮影した場所や日時を明記していない。

動画に関する情報量が少ないにもかかわらず、TikTokユーザーからは多くのコメントが寄せられた。うち、その正体について多くの「いいね」を集めているのが、米アリゾナ州に住んでいた先住民ナバホ族に伝わるスキンウォーカーではという説。元は人間だが、夜の闇に隠れて動物に変化すると言われているからだ。

他方で「スキンウォーカーには毛皮があり、人間をおびき寄せるため動物に変身する。これはウェンディゴだ」という意見もある。ウェンディゴとは、カナダ南部から米北端の先住民に伝わる精霊。またネットの都市伝説で語られる人型生物「レーキ」という説も。レーキは米北東部に住み、人間のことを長年ストーカーして学び、集めた個人情報で人間を脅かすとされる。

もちろん「鳥じゃないの?」「ジャーマンシェパード(大型犬)だろ」「もしこれが本物なら、ビデオの続きを見せてくれないと」と懐疑的な意見も多い。手の込んだフェイク動画の可能性も残るが、投稿者は今もアイコンで顔をさらし、この動画も削除せず載せたままだ。

スキンウォーカーは米国ではメジャーなUMAで、2014年には米ニュースサイト「KRQE ニュース13」ではっきりととらえられた映像がニュースとなり、話題になった。

オカルト評論家の山口敏太郎氏はこう語る。

「スキンウォーカーはここ10年ほど全米で目撃されているUMAです。もともとネーティブアメリカンの間で伝説の怪物とされているんですが、その目撃事例の一部は、全裸で走り回る人間の誤認なんです。今回の動画で興味深いポイントは、スキンウォーカーが伸びたり縮んだりするところです」

この姿や動きは、日本における伝承妖怪の「見上げ入道」の性質と似ているのだとか。他にも白くて細長い姿は都市伝説系妖怪の「くねくね」と酷似しているという。山口氏は「人間が目撃する怪異は、世の東西、時代の古い新しいに関係なく、共通するものなのでしょうね」と指摘している。

© 株式会社東京スポーツ新聞社