未来への審判~糸魚川市長選・市議選〈1〉 市長選 多選逆風も激戦制す 米田氏、継続訴え浸透

 糸魚川市長選と同市議選は18日に投開票が行われ、有権者の審判が下った。新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中で市政の「継続」か「刷新」か、多選の是非などが争点となった市長選は、現職の米田徹氏(72)が1万3952票を獲得、新人で前の市産学官推進企画幹、元海洋高校長の久保田郁夫氏(63)を1873票差で下し5選を果たした。26人が立候補した市議選は新人10人、元職1人、現職7人の計18人が当選した。ダブル選挙を振り返る。(全4回)

  「コロナ禍を乗り越え、市民の幸せを守り抜く。」をスローガンに、駅北大火からの復興、国県との連携など「実績」や「信頼」をアピールし5期目の選挙を戦った米田氏。多選批判の逆風を受けながら再選を果たした。

 立候補の正式表明は遅れ、昨年12月24日だった。出馬理由に新型コロナウイルス感染症の影響を挙げ「経験を生かし、非常時に対処したい」と説明。最重点課題には地域医療や地域経済を掲げた。

 自民党能生支部、青海支部が早々に推薦を決める中、糸魚川支部は内部に多選懸念の声もあり、決定を保留。再度の協議で推薦に至った。ある支援者は「本来、5期目はないと思う。しかし本人が使命感を持ってやりたいという以上、応援しなければ」と話した。

 1月下旬に市発注工事をめぐる談合疑惑が明らかになり、地域の事業所、市民らに少なからず動揺、疑念が広がった。3月4日には来海沢地滑り災害が発生。本格始動は、告示直前になった。

 序盤で選対本部長の中村康司県議は「大変厳しい激戦。1票でも多く」と熱を入れた。高鳥修一衆院議員は5期目を「米田政治の集大成」と位置付け、「絶対負けられない」と鼓舞。経済団体、建設業界、セメント工場などの手厚い支持基盤で票を固め、新人を含む市議選候補との共闘で上積みを図った。コロナ対策で控えていたミニ集会も実施した。

 「市政を継続させてほしい」と訴え続けた米田氏。街中から中山間地まで街宣車を走らせ、コロナ対応の肘タッチを交わし支援を呼び掛けた。4期16年の浸透力は、新人候補をわずかに上回った。

選挙戦最終日に支持を訴える米田氏(17日、中央大通り線で)

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