虎に5被弾悪夢から一転!巨人蘇生のウラに原監督の計算ずく〝コーチ批判〟

阪神を破った原監督は本拠地のファンに両手を挙げてあいさつ

あのひと言がチームが粛然とさせたのか――。阪神との首位決戦・第2ラウンド(21日、東京ドーム)で巨人は4番・岡本和真内野手(24)の2打席連続弾、吉川尚輝内野手(26)の勝ち越し打で3―2で逆転勝利。10失点惨敗から一夜で蘇った裏には原辰徳監督(62)の〝辛口ゲキ〟が功を奏したと周囲は見ている。

スタートはため息だった。先発・畠が初回、近本に先頭打者弾を浴びると、一死からマルテに6号ソロを左翼スタンドに運ばれた。開始早々の2失点にドームには前夜の5被弾10失点の悪夢がよぎった。

だが、負ければ5ゲーム差のピンチを4番・岡本和が救った。虎先発・青柳から2打席連続ソロで同点に追いつくと畠も追加点を許さず。6回二死一、二塁で吉川の勝ち越し適時打が飛び出し、1点差で逃げ切った。原監督は「タイガースは非常に勢いのあるチームですから。それをみんなで受け止めてね。今日に関しては何とか1点差で跳ねのけることができたということですね」とうなずいた。

主力を欠くなか、ズルズルといきかねない中での逆転勝利に「あの一言が大きかったのでは」とライバル球団関係者が指摘したのが、前夜の指揮官の言葉だった。初戦で「3番・マルテ、4番・大山、5番・サンズ」に5被弾を浴びた原監督は「クリーンアップに4本も5本も打たれているようじゃ、それはいけませんよね。バッテリーコーチは何をしてんだということですよね」とクギを刺した。

一見、相川亮二バッテリーコーチ(44)へのゲキと思われたが、ライバル球団の見方は違った。「原監督が言っているのは相手打者を分析するスコアラー出身の村田(善則)ブルペンコーチのことでしょう。もちろん特定のコーチ1人ではなく投手コーチも含め、バッテリーに関わるコーチ全員への叱咤が目的のはず」(セ球団関係者)。

その狙いは何だったのか。「このままなら配置転換があるぞと、コーチ陣を粛然とさせるためでは」と前出の関係者は分析。実際、これまで原監督はシーズン途中でも、流れを変えるための配置転換を行っている。

第3次政権でも19年6月に三沢投手コーチをファームから一軍に昇格させると、さらに同年8月には村田善スコアラー室長(当時)をブルペンコーチに配転。三沢投手コーチを再びファームに戻した。適材適所を徹底することでチームの5年ぶりVにつなげた。

この日の試合前練習で原監督は打撃練習が始まってもしばらくの間、ベンチに座ったまま。ナインはもちろんのことコーチ陣の動きにも目を光らせていた。

石井野手総合コーチは岡本和のティー打撃で低め、高めと高低差のあるトス、さらにはバットで「8の字」を描かせてからボールを打たせた。昨季、ベテラン中島を復活させたルーティンをこなした岡本和が、復活の2打席連続弾を放った。

もちろんコーチ陣へのゲキがすぐ結果に結びつくほど簡単ではないが、冷や水を浴びせたのは間違いない。一矢報いただけに終わるのか、それとも虎の勢いを止められるか。今後の巨人の戦いに注目だ。

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