“8割おじさん”西浦博教授 緊急事態宣言期間を政治調整の噂に「本当ならこの国は終わり」

五輪開幕まですでに100日を切っている

厚労省感染症対策アドバイザリーボードのメンバーで、京都大学大学院医学研究科の西浦博教授(環境衛生学)が22日、ツイッターを更新。感染力が強く重症化率の高い変異種の流行で、新型コロナウイルスの“第4波”を迎えている大阪府、東京都などが、3回目の緊急事態宣言を検討していることに対して持論を述べた。

西浦教授は「Thomas Bach氏の来日が5月に予定されていて、それまでに宣言が終わるよう必死に政治調整しているのなら、僕はこの国って現時点で終わりなんだと思います」とつづると「僕たちの代表は何を守ろうとしているのか。国民の生命と財産の保護はどうなるのか」と疑問を呈した。そして「どうか、どうか、根も葉もない噂話であって欲しいと思います」と願った。

小池百合子都知事(68)は、緊急事態宣言の期間をゴールデンウイーク中の今月29日~5月9日(最長で5月16日まで)とするよう政府に求めているという。学校の分散登校、部活動の休止、大型商業施設や遊興施設の休業を求める方針だが、経済界からは反発の声が上がる一方、医学的立場から見ると短すぎるとの指摘もある。

コロナ対策分科会の尾身茂会長(71)は「かなり強い対策を集中的に打つ必要がある」「最低3週間は必要」と話し、日本医師会の中川俊男会長(69)は「宣言の発令を躊躇している場合ではない」と強い口調で訴えた。感染状況によっては宣言を全国に拡大し、解除は感染が落ち着いてから考えるべきだという。

国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長(67)は現地時間21日、緊急事態宣言について「連休のための積極的な感染対策と理解している」「予防的、限定的であり、東京五輪開催には影響しない」とコメントした。

バッハ会長は5月17日、広島市の聖火リレーに合わせて来日する予定だという。小池都知事のもくろみ通りなら、ちょうど宣言が解除されるタイミングだ。

西浦教授はかねて、ワクチン接種が完了するまで東京五輪を再延期すべきと主張している。同教授は感染症の流行をシミュレーションし、流行の対策を行う理論疫学の研究者。昨年の拡大初期に、クラスター対策として「3密回避」「8割接触減」を打ち出した。

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