九州新幹線開業見据え 諫早発着ツアー 集客策を模索 島原半島観光連盟 第2種旅行業取得

島原半島3市の観光ガイドが参加した実地研修会=雲仙市小浜町(島原半島観光連盟提供)

 長崎県の島原、雲仙、南島原3市の観光団体や企業などでつくる島原半島観光連盟(島観連)は1月、国内ツアーを扱える第2種旅行業を取得した。2022年秋の九州新幹線長崎ルート暫定開業に照準を合わせた着地型旅行商品を開発。新型コロナウイルス禍で実績はまだ上がっていないが、感染状況の回復段階に応じた集客策を模索する。
 3月30日、3市の観光ガイド10人が地元観光地を巡る研修会があった。「改めて島原半島の魅力を感じた。もっと勉強して、ツアーでたくさんの人に知ってもらいたい」。小浜温泉観光ガイドの中村和美さん(67)はバス車内や名所での案内を実地で学んだ感想をこう述べた。
 島観連は1996年に発足し、2009年に一般社団法人化した。13~17年度に第3種旅行業に登録したが、扱う旅行は所在地隣接地域に限定されていた。そこで、大手旅行会社のツアーを誘致し、初年度は関西や九州からバス計約110台、計約4千人を呼び込んだ。
 ただ県の統計によると、半島を訪れた19年の観光客数は延べ約491万人(前年比約12万人減)。このうち日帰り客数は約325万人(同約14万人減)と右肩下がり。宿泊客数も近年170万人前後で伸び悩む。
 この不振を打開するための起爆剤として注目するのが新幹線開業だ。停車駅で島原半島の玄関口となる諫早駅の発着ツアーを計画。そのために、国家資格「旅行業務取扱管理者」の有資格者を採用し、扱える商品エリアが広い第2種旅行業を取得した。
 企画第1弾は、原城跡(南島原市)の沖合で世界的に珍しい石灰藻リソサムニウムが密集した浅瀬「白州」の上陸体験ツアー。3月末から個人客向けに発売した。しかし、新型コロナ感染拡大や国の観光支援事業「Go To トラベル」の停止で申し込みはまだゼロ。ほかにも10種類以上の団体ツアーを企画したが募集できずにいる。
 密回避のため団体の定員を絞らざるを得ず、担当者は「1人当たりの参加料金が高くなる。GoToのような割引がないと厳しい」と悩む。ガイド研修では、バス車内で飛沫(ひまつ)を防ぎながら案内する難しさも課題に挙がった。
 それでも今後は3段階のシナリオを描く。「コロナ禍の影響継続期」は半島近郊から誘客。新幹線開業後の「回復期」から「成長期」にかけては、大都市圏のシニア層など高単価顧客にターゲットを絞る。
 島観連の楠田喜熊会長は「観光消費の回復を図るには、島原半島の競争力を高める必要がある。(新幹線開業で)観光活性化に向けた下地ができる。関係者の声を取り入れ戦略的に施策を推進する」と語る。

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