アンソニー・ホプキンス「引退する気はありません」「私は老戦士」 「ファーザー」で最高齢オスカー候補

本年度アカデミー賞6部門にノミネートされている映画「ファーザー」から、認知症の父親を演じて史上最高齢のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされているアンソニー・ホプキンスの、インタビュー映像が公開された。

ホプキンスは認知症の父親を演じるにあたり、「私は父を演じたんです。父は認知症ではありませんでしたが最後の数週はその兆候が見えました。死を恐れるあまりとても怒っていて、目が合うだけで身がこわばりました。そんな父を思い出しながら演じたので実に簡単でしたよ」と、自身の父を参考にしたことを明かしている。

また引退について問われると、「私はまだまだ引退する気はありません。私は老戦士ですからね。強くて生きる力がある。それに私はあれこれ考えたり分析したりせずただセリフを覚えて演じます。それが脳の活性化につながります。私は暗記マニアなんです。おかげで脳が衰えません。シェイクスピアやエリオットなどの詩も大量に暗記しています」と、力強く現役宣言をしている。

インタビュー映像ではほかに、娘アンを演じたオリヴィア・コールマンや、テーマである認知症や死についても語っている。

ホプキンスは、先日発表された英国アカデミー賞(BAFTA)で史上最高齢で主演男優賞を受賞。自分が受賞するとは思っていなかったホプキンスは、滞在先のホテルで授賞式の中継も見ずに絵を描いており、フロリアン監督から届いたメールで受賞を知った。史上最高齢でのオスカー受賞がかかるアカデミー賞当日は、家族とウエールズに滞在の予定だという。

「ファーザー」は、歳を重ねることによって誰もが経験する喪失と親子の愛を、記憶や時間が混迷していく父の視点で描いた作品。フランス演劇界最高位のモリエール賞で脚本賞を受賞した、フランス人の劇作家フロリアン・ゼレールの舞台を原作としている。原作舞台は、パリ、ロンドン、ニューヨークなど世界30カ国以上で上演され、日本でも2019年に橋爪功、若村麻由美によって上演された。映画化にあたっては、ゼレール自身が長編初監督作としてメガホンを取っている。

【作品情報】
ファーザー
2021年5月14日 TOHOシネマズ シャンテ他 全国ロードショー
配給:ショウゲート
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