老後破綻にならないために公的年金でやりくりするコツ、「減らない財布」を作るには?

使ってもお金が「減らない財布」を手に入れたいと思いませんか? もしも、それがあれば、老後はまさに安泰ですね。

じつは、老後生活における「減らない財布」というのがあります。それが「公的年金」なのです。偶数月には、2ヵ月分の年金が金融機関の口座に振り込まれます。これは、生きている限り一生涯続きます。まさに公的年金というのは、「減らない財布」と言えるのではないでしょうか。

しかし、残念ながら年金の受給額だけでは生活費としては少ないと感じる人が多いのではありませんか?ところが、考え方を変えるだけで、老後破綻にならない「減らない財布」を持つことができるのです。


減らない財布を手に入れるための秘訣

「減らない財布」を手に入れるには、入ってくるお金と出て行くお金を同じにする必要があります。そうすると、お金は減りません。

老後生活の場合は、入ってくるお金というのは年金で、出て行くお金とは生活費です。これが同じ金額であれば収支のバランスがとれているとなります。しかし、現実に年金だけで生活費をまかなえるか疑問をもつかもしれません。これについて、共働きの夫婦の場合は可能だといえそうです。

なぜかというと共働きの夫婦は、厚生年金がダブルになるので、夫婦合算で月額27万円ぐらいと考えられます(働いていた期間や雇用形態等で差が出るため、詳しくは年金ネット等で確認してみてください)。生命保険文化センターの調査によると、夫婦二人で老後生活を送る上で最低日常生活費は月額で22.1万円です。一方、ゆとりのある老後の生活費というのは、最低日常生活費22.1万円に14万円の上乗せした金額の月額平均36.1万円です。

ゆとりのある生活とは言えませんが、生活費という意味では年金だけで収支のバランスが取れると思います。つまり、共働きの夫婦は「減らない財布」を手に入れることができそうです。

「減らない財布」プラス余裕資金が大切

しかし、「減らない財布」を手に入れたとしても安心はできません。日常生活における収支のバランスが取れているだけなので、何か大きなトラブルがあって支出が多くなったときには困ります。

老後における大きなトラブルで考えられるのが、介護、認知症、配偶者の死亡などです。

もし、介護が必要になった場合の必要額は約800万円と言われています。ですから余裕資金として、800万円ぐらいは用意しておく必要があります。

収支のバランスが取れていれば、一生涯生活費に困らないと言うことですが、それだけではダメです。必ず余裕資金というのは準備をしておきましょう。そうしないとトラブルがあったときに、破綻してしまうのです。

もし、余裕資金の金額が多ければ、それがレジャー資金、旅行資金に使えます。生活費に困らない「減らない財布」をベースにしておけば、余裕資金が多くあればあるほど、ゆとりのある生活になるでしょう。

年金の受給額が少ない家庭の場合には

共働きの夫婦の例を出しましたが、妻が専業主婦とか、自営業で年金の受給額が少ない人は、どうすればいいのでしょう。このままでは収支のバランスを取ることが難しいですね。

この場合、収支のバランスが取れるように、近づけるということが重要です。現役時代と同じ支出を続けていくと、すぐに老後資金もなくなってしまいます。家計のダウンサイジングが重要です。

家計の見直しのコツは、金額の大きな固定費の節約を考えることで、無理なく継続ができます。たとえば、生命保険や携帯電話の料金などです。また、住宅ローンが残っている場合は、できれば退職金などを使って完済しておきたいものです。

年金の受給額を増やす方法

支出を見直すにも限界がありますし、また節約しすぎる生活も楽しくないですね。そこで、収入を増やす方法を考えましょう。

収入を増やす方法でもっとも効果的で手っ取り早いのが、長く働くと言うことです。働くことで収入が増えます。また会社員で働くと厚生年金に加入できるので、年金の受給額を増やすこともできます。増えた年金は一生涯続くので、いいですよね。現役時代ほどの給料ではなくても継続することに価値があります。

次に、年金の繰下げ受給をして年金額を増やす方法があります。

年金の繰下げ受給をすると、年8.4%の増額になり、70歳まで繰下げると42%の増額になります。そして増額になった金額は一生涯続くのです。これもとても効果が高い方法です。老後資金を運用するよりも効率はいいのです。年8.4%増えることが約束されている商品などは他にはありません。

たとえば、65歳での年金の受給額が年200万円だとしたら、70歳まで繰り下げれば284万円になるのです。この方法を利用して、収支のバランスを近づけてはいかがでしょうか。

働くことと年金の繰下げ受給はセット

ここで、「70歳まで年金を繰り下げればいい」なんて、気軽に言うけれど、その間の生活費はどうするのか?との指摘があると思います。そのためには、長く働くことが必要になります。

長く働くのと、年金の繰下げ受給をセットで実行することによって、より効果的になるのです。

つまり、長く働き、収入を得て、生活費をまかなう、その間は年金の繰下げ受給をして年金を増額させる。さらに長く働くことで、厚生年金に加入しているので年金の受給額もアップする。合わせて、生活のダウンサイジングをして収支のバランスを取る。

これで「減らない財布」を手に入れることができるのです。

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