神田川俊郎さん 新型コロナ感染で急死 志村けんさん、野村さん夫妻との“縁”

左から神田川俊郎さん、野村克也さん

人気料理バラエティー番組「料理の鉄人」(フジテレビ系)でブレークした、〝関西料理界のドン〟と呼ばれる料理研究家の神田川俊郎さん(本名・大竹俊郎)が25日未明、大阪市内の病院で新型コロナウイルスによる肺炎で急死した。81歳だった。

神田川さんは今月16日に自宅で倒れ、病院に救急搬送された。新型コロナウイルスの感染が判明し、人工心肺装置ECMO(エクモ)での治療を受け、いったんは回復。24日に装置は外されたが、25日未明に急変し、肺炎で亡くなったという。

「神田川」という名前は祖父が東京、京都で開いた鰻屋の屋号から取ったもの。神田川さんは京都市内の中学校を卒業し大阪市内の一流料亭で修業後、創作おでんの店での独立を経て、1965年に大阪市北区に和食料理店「神田川本店」を開店。現在、北新地に4店舗を構えていた。

神田川さんはメディアにも積極的に進出し、知人だった故・三波伸介さんが司会を務めた時代の日本テレビの「笑点」の料理コーナーを担当。関西では、よみうりテレビの「2時のワイドショー」や「Beアップル2時!」の人気コーナーだった神田川料理道場の師範役で人気を集めた。

全国的にブレークしたのは、90年代に人気を博した「料理の鉄人」に出演したことだ。中華の鉄人と言われた陳建一氏や和食の鉄人と呼ばれた道場六三郎氏らと、数々の名勝負を披露した。

神田川さんは世界に対して和食の普及にも貢献した。親交があった自民党の片山さつき参院議員はツイッターで「全国の調理師の名誉会長として、日本食の質と品格、日本料理人の権利を守るため尽くされました」と偲んだ。

また昨年、新型コロナで亡くなった志村けんさん(享年70)との親交も深かった。「95年にフジテレビ系の志村けんさんの『バカ殿』のスペシャル番組に弟子を2人連れて出演したんです。献上したマグロを料理して、バカ殿にごちそうした縁で神田川さんと志村さんがスウェーデンで和食を作って食べる番組を制作した」と言うのは当時の番組スタッフ。

神田川さんは81歳となっても自ら料理人として、店で腕を振るっていた。

「日本料理店、和ふらんす懐石や天ぷら懐石、おでん懐石の店も経営していて、北新地のクラブのホステスの同伴客が多かった。神田川さんもいつも店を利用してくれるということで、顔なじみのクラブに顔を出していた」(テレビ局関係者)

神田川さんの感染ルートは分かっていないが、前出の番組スタッフは「志村さんと共演したこともあっただけに因縁めいたものを感じます」と悔やんだ。

また昨年亡くなった元プロ野球監督の野村克也さんとは、古くから親交があったという。

「17年に亡くなった沙知代夫人とともに、大阪に行ったら必ず神田川さんの店を訪れていた。沙知代さんは学歴詐称疑惑や脱税で逮捕された時など、激しくバッシングされる時期もあったが、そんな時でも神田川さんは優しく迎え入れてくれたから、夫婦そろって信頼していた」(在阪のテレビ局関係者)

今ごろ、天国で再会を喜んでいることを願いたい。

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