【フローラS】黒いクールキャット オークスで白いソダシと激突へ

好位から危なげなく抜け出したクールキャット

25日、東京競馬場で行われたGⅡフローラS(芝2000メートル・良馬場)は、5番人気のクールキャット(奥村武)が重賞初制覇を飾った。勝ち時計は1分59秒4。2着スライリーとともに5・23オークスの優先出走権を獲得した。メジロの血を受け継ぐスタミナあふれる才女。レースを振り返ると同時に今後の可能性を探った。

「大跳びでリズムを崩すと全くダメなタイプ。ゲートも遅めなのがネックです。結果的に外枠が功を奏しましたね」

レース後、安堵の表情で語った奥村武調教師。昨年6月の東京でデビュー戦圧勝を決めてからオークスに照準を合わせて使ってきたが、その後は3戦連続で消化不良の競馬を強いられた。

「中山では窮屈な走りになってしまうが、東京はやはり向いてますね。思っていた通りの走りをしてくれました」と“順当勝ち”をアピール。「ビュッと切れる脚がない半面、スタミナはすごい。さらなる距離延長は大歓迎です」。次走への明言は避けたものの、大一番のオークスに向けてグッと力を込めた。

そのデビュー戦以来の騎乗だったルメールは「新馬戦の時よりパワーアップしていましたし、筋肉がついてきましたね。今日は前のほうで乗りたかった。すぐにいいポジションを取れたし、馬の後ろで冷静に走れました。直線でも、だんだんと加速して長く脚を使ってくれました」と、2月のフェブラリーS(カフェファラオ)以降、遠ざかっていた久々の重賞Vに破顔一笑だ。

レースの中身はというと、前後半4ハロン47秒3→46秒4の数字が示すように遅めの流れ。それゆえ走破時計は能力を示すものではなく、2着以下を1馬身ちぎった強さを素直に評価したい。本番でルメールが乗れない(アカイトリノムスメに騎乗予定)のは痛いが、はつらつとした今回の走りには無限の可能性を感じてやまない。白いソダシと黒いクールキャット――。まさに好対照のライバルの激突を楽しみに待ちたい。

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