韓国の「東京五輪ボイコット」が現実味 全羅北道が原発処理水の海洋放出を問題視

東京五輪はどうなるのか

今夏に開催される東京五輪に韓国が選手団を派遣せずボイコットする可能性が現実味を帯びてきた。

韓国紙「全北中央」など現地メディアが報じたところによると、26日に同国の行政区の一つである全羅北道の議会が臨時本会議を開催し、日本政府による福島第一原発の処理水の海洋放出方針が撤回されなければ東京五輪に参加しないよう韓国政府に求める提案が採択された。

全羅北道議会の提案では「日本政府の原発〝汚染水〟放流決定は、人類の平和をうたう精神を毀損するだけでなく、人類を欺く欺瞞行為だ」と厳しい言葉で非難。この提案を代表発議した全羅北道議会のイ・ミョンヨン環境福祉委員長は「海洋放出を決定した日本政府に対抗するために、我々の政府が中国、北朝鮮など近隣諸国と協力して東京五輪への出場拒否などの国際的な動きを強化し、共同対応しなければならない」と語り、すでにボイコットを表明している北朝鮮とともに南北で協調し、中国にも協力を要請する方針をまとめた。

これまでも民間レベルや地方の小議会などで東京五輪ボイコットを求める動きはあったが、韓国の主要な行政区分の8道の一つである全羅北道による決定が持つ意味は大きい。日本でいえば関東や関西の地方が一体となり行政として正式に声を上げたことになり、政府も決して無視はできない。全羅北道をキッカケにして今後他の道やソウル特別市にも動きが広がり、世論を含めて一気に韓国全体が東京五輪のボイコットへと突き進む可能性もありそうだ。

日本では新型コロナ禍の深刻化で開催自体が危ぶまれる中で、韓国の参加問題も新たな局面を迎えようとしている。

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