【NBA】ラプターズ・渡辺にKJ松井が「自己投資のススメ」

真のNBAプレーヤーになった渡辺(ロイター=USA TODAY)

【KJ松井のCatch&Shoot(64)】米プロバスケットボールNBAトロント・ラプターズが渡辺雄太(26)と本契約を結んだ。開幕時の保証がない「エキシビット10契約」でキャンプに参加し、開幕前に「ツーウエー契約」に昇格。さらに「レギュラー契約」という快挙を成し遂げた。その渡辺に対して、本紙バスケット評論のBリーグ・京都ハンナリーズ松井啓十郎(35)は「自己投資のススメ」を説いた。

渡辺選手、本当に良かったです。キャンプだけの「招待」がほとんどの「エキシビット10契約」から、4か月ほどで「レギュラー契約」になったのはすごいこと。来シーズンの契約は完全には保証されていませんが、チームに残れればNBAで4年目の選手として160万ドル(約1億7000万円)程度はもらえるようになります。

「ツーウエー契約」の時よりは格段に年俸が上がることで、ぜひやってほしいのが「自己投資」です。現在のNBAナンバーワンプレーヤーといってもいいレブロン・ジェームズ(36=レイカーズ)は専属のトレーナーやシェフを雇っていて、その費用は年間で1億円を超えています。

同じ金額を出すのはさすがに無理でしょうけど、パーソナルトレーナーを雇ってフィジカルを強化、さらにはシェフと契約するのもいいと思います。独身ですから、日々の食事は大変です。NBA選手が毎日ハンバーガーというわけにはいきませんから、栄養のバランスやその時々の体調などを考えた食事を作ってもらうことは絶対にプラスになるはずです。

来シーズンに本来の本拠地のトロントに戻ったら、真冬の極寒の夜に食事に出かけようという気にはならないでしょうからね。また「レギュラー契約」で真のNBA選手となったことで、スポンサー契約も増えるはずです。今までの「ツーウエー契約」は本来「下部のGリーグに所属してNBAにも一定期間昇格できる」というもの。今シーズンはラプターズの試合にしか出ていませんが、昨シーズンまでのメンフィスでは、グリズリーズとGリーグのハッスルを行き来していました。ですから例えば広告で使うにしても、常にラプターズにいるかわからないので、ユニホーム姿というわけにいかないという事情がありました。それが真の意味で「ラプターズの渡辺雄太」となりました。これがスタート。今シーズンの残り試合でもよりいいパフォーマンスを見せてもらいたいです。

☆まつい・けいじゅうろう 1985年10月16日生まれ。東京都出身。バルセロナ五輪の「ドリームチーム」を見た父親の勧めで小学1年からバスケットを始め、6年時にはイベントでマイケル・ジョーダンと1対1で対戦した。高校から米国に渡り、コロンビア大学では日本人男子で初めてNCAA1部でプレー。卒業後は帰国し、今季から京都に加入。ニックネームの「KJ」は、米国で「けいじゅうろう」を覚えてもらいにくいために使い始めた。188センチ、83キロ。

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