辻監督「ドキドキした感じでしたよ」 西武を連敗脱出に導いたかつての “武器”

タイムリーを放った西武・中村も、いつもと違った?

やはり強力攻撃陣には〝鳴り物応援〟が不可欠か。西武が27日のロッテ戦(メットライフ)に3―1で逆転勝ち。17日のソフトバンク戦から引き分けを挟んで続いていた連敗を「6」で止めた。

プロ2年目の先発右腕・上間が5回を5安打無四球1失点で切り抜けると、この日は救援陣も奮起。5人の投手リレーで好調ロッテ打線を最少失点に封じ込めた。

投手陣の踏ん張りによる勝利には辻監督も安堵した様子。「序盤で(上間が)つかまるかと思ったけど、(3回に)1点取られてからの併殺打で終わったのがよかったのかな。(5回無四球も)ほんと頑張ったよね。やっぱりストライクゾーンで勝負すれば向こうも打ち損じがあるから」と上間をねぎらったが、連敗脱出のカギはプロ初勝利を飾った右腕の好投だけではない。この日解禁された「チャンテ」ことチャンステーマの存在も大きかったはずだ。

西武の本拠地メットライフドームは昨季から新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮し、応援団によるトランペットや太鼓等の鳴り物を事実上禁止に。この新しい観戦ルールにより、本拠地では拍手やフラッグでの「静かな応援」を余儀なくされ、西武の本拠地名物と言われていたチャンステーマも封印されていた。

だが、この日から応援団の要望などもあり、事前収録された応援歌やチャンステーマが左翼席上段に設けられた2台の特設スピーカーから効果的に流れると、今シーズンここまで静かだった球場の雰囲気が一変。2季ぶりに球場が一体になる西武独特の応援が復活した。この効果もあり、打線は4回に中村が逆転の2点適時打。5回も追加点を奪え、勝利をたぐり寄せたと言っても過言ではない。

試合後のお立ち台で中村が「久しぶりにチャンステーマを聞けてうれしかった」と話せば、指揮官も「(チャンテは)録音したやつでしょ? そうは思えないぐらいなんかドキドキした感じでしたよ。力になった? もちろん、もちろん」と興奮気味にその効果を実感した西武のチャンテ。他球団選手からも「西武打線はチャンテに乗せられて勢いが増す」と恐れられていた。

かつての「武器」を手に入れた獅子軍団。この応援復活をきっかけにチーム浮上となるか。

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