山田洋次監督「この映画には思想がある」 加藤登紀子、小島秀夫からも 「海辺の家族たち」鑑賞コメント

ロベール・ゲディギャン監督作「海辺の家族たち」が、5月14日から劇場公開される。本作をいち早く鑑賞した著名人のコメントが公開された。

映画監督の山田洋次は、「この映画には思想がある」と本作を評価。歌手の加藤登紀子は、「涙が込み上げて止まりません」と感動の言葉を寄せている。ゲームクリエイターの小島秀夫は、「誰にでも訪れる“老い”だが、この歳になるとかなり考えさせられる」と胸に迫る思いを語っている。女優・作家の中江有里は、「見捨てられた別荘地にも絶景はある。裏切られた人生にも希望はある。それに気づけたなら、人は人と繋がれる」とコメントを寄せている。

「海辺の家族たち」は、父との最期の日々を過ごすため、かつての別荘地のにぎわいを失ったマルセイユ近郊の海辺の家に集まった3人の子どもたちが、過去にとらわれて絆を見失い、明日へと踏み出せない中、漂着した難民の子どもたちとの出会いによって人生を変えていく物語。自身が生まれ育ったマルセイユを舞台に、労働者階級や移民など社会的弱者の人生を温かなまなざしで見つめ続け、「フランスのケン・ローチ」と評されるロベール・ゲディギャンが、監督を務めている。

【コメント全文】

■山田洋次(映画監督)
美しい入江の一軒家に集う家族が、憂鬱な時間を重苦しく過ごすうち、突如思いもかけぬ出来事が立ち上がり、未来が豁然と開けてくる――この映画には思想がある。

■加藤登紀子(歌手)
涙が込み上げて止まりません。生きて来たことのいいことも悲しいことも、素晴らしいことも、みんな辛い思い出になってしまう人生の晩年。その雲を切り裂くように輝かせてくれたのは小さな命でした。

■小島秀夫(ゲームクリエイター)
離散してバラバラになった家族、老いて動脈硬化を起こしたそれぞれの夢、かつて美しかった寂れてしまった故郷。余命いくばくもない父親の死を看取る為の再会。人生の終焉を意識して集まった“海辺の家族たち”。そして、生きることへの小さい希望が起こすさざ波。誰にでも訪れる“老い”だが、この歳になるとかなり考えさせられる。

■中江有里(女優・作家・歌手)
見捨てられた別荘地にも絶景はある。裏切られた人生にも希望はある。
それに気づけたなら、人は人と繋がれる。

■武田砂鉄(ライター)
波の音が耳に残る。
寄せては返す波の音が、波を見つめる人たちの表情とともに変わっていくかのよう。
いくつもの感情を受け止める眼前の海をいつまでも見つめていたくなる。

【作品情報】
海辺の家族たち
2021年5月14日(金) キノシネマみなとみらい・立川・天神 ほか全国順次公開
配給:キノシネマ
© AGAT FILMS & CIE – France 3 CINEMA – 2016

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