弁護士のパワハラ認定 胸ぐらつかみ「うそつき野郎」、メール宛先に「クズ」 横浜地裁川崎支部判決

横浜地裁川崎支部

 川崎市内で法律事務所を経営していた男性弁護士から長期にわたりパワハラを受けたとして、所属していた男性弁護士(35)が慰謝料などを求めた訴訟の判決で、横浜地裁川崎支部(飯塚宏裁判長)は27日、経営者によるパワハラを認め、慰謝料など計520万円の支払いを命じた。

 被害者は司法修習を終え、2011年12月に同事務所に入所。16年3月に退職するまで、3年近くにわたりパワハラを受けた。

 判決によると、経営者は14年1月ごろ、被害者の胸ぐらをつかみ、「うそつき野郎が」「おめえふざけんじゃねぇぞ」と大声を出してロッカーにたたきつけた。また、指示棒やスリッパでたたく、メールの宛先表示を「クズ」と設定するといった行為を繰り返した。

 飯塚裁判長はこれらの行為を事実と認め、「優越的な立場を利用し、適正な指導の範囲を明らかに逸脱して行われたもので、違法なハラスメント行為というほかない」と指摘した。

 事務所の依頼で被害者が担当した事件については、業務委託報酬の支払いも命じた。被害者側は「一部の請求が認められなかった」とし、控訴する方針。経営者側の代理人弁護士は「本人と打ち合わせをした上で対応を考えたい」としている。

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