「密」避け楽しむ コロナ禍2度目のGW 長崎県内観光地、人出まばら

大浦天主堂前で休館を知らせるメッセージを見詰める観光客ら=長崎市南山手町

 新型コロナウイルス禍で迎える2度目のゴールデンウイーク(GW)が29日、始まった。昨年は全国の緊急事態宣言期間と重なり、今年は流行「第4波」の最中。特に感染者が多い長崎市の観光地や市街地に例年の人混みは見られないが、県外からの旅行客も。屋外の公園などには「密」を避けて休暇を楽しむ家族連れの姿があった。
 午前11時すぎ、同市浜町のアーケードを訪れると、雨天もあってか繰り出した人は少なめで、買い物客同士が十分な間隔を保てる程度にはすいていた。「人と接触しないGWに」。そう求める看板もある。
 「いつもの半分くらいかな」。人波を見詰めて言うのは近くの冨永緑さん(80)と宮原昭子さん(76)。携帯電話の修理や日用品購入のため出掛けた。2人は長崎さるくガイドとして連休中も大忙しのはずだったが、新型コロナの感染急拡大で予定は白紙に。連休をどう過ごすか尋ねると、「自宅マンションの階段などを歩いて足腰を鍛えようかな」
 観光地も静かなスタートを切った。市内では40近い主要観光施設が休館し、南山手町の大浦天主堂やグラバー園前は閑散。正午すぎ、休館を知らずに来た県外の観光客が立ち尽くし、写真だけ撮って帰る様子が目立った。

普段より人通りが少ない長崎市中心部のアーケード。密を避けることを呼び掛ける掲示板が設置されていた=長崎市浜町

 休館施設には端島(軍艦島)も含まれ、観光クルーズ船の運航各社は上陸しない「周遊」のみで対応。ある会社は上陸できなくなったことを受け、GW中に満席だった予約が4割キャンセルになったという。正午ごろ、クルーズ船を降りた東京の40代会社員女性2人は「原爆資料館を見たり、ロープウエーに乗ったりしたかったのに休館ばかり。コロナ収束後に来たい」と肩を落とす。
 五島市の福江港ターミナルも行き交う人はまばら。夜行フェリーで福岡市から訪れた観光客男性(36)は「普段から感染対策はしている。(五島は)人が少ないので魅力的」。別の船で帰省した長崎市の女性会社員(45)は「出歩くつもりはない」と苦笑する。土産物店の70代女性は「自粛が呼び掛けられている割に人が多い印象で心配だが、商売としては痛しかゆし」と複雑な表情を浮かべた。
 午後3時すぎ、雨が上がった同市の稲佐山公園には遊具で遊ぶ家族連れの姿もちらほら。妻と息子と訪れた同市の富永哲郎さん(40)は「人が多ければ帰ろうかと思ったが、ちょうど雨上がりで少なくて良かった。(GW期間中は)家でできることをして過ごしたい」と話した。
 NTTドコモがまとめた29日午後3時現在の人出は前日と比べ、長崎駅で22%、浜町アーケードで11.6%、それぞれ減少した。


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