〈動画あり〉手仕事文化を発信 旧今井染物屋改修終え開館 上越市大町5

 江戸時代末期に建てられ、上越市内で現存する最古、最大級の町屋建築とされる同市大町5の市文化財、「旧今井染物屋」の耐震改修工事などが完了し、29日に開館した。かつて高田の基幹産業として発展したバテンレースの常設工房や、草木染めや竹細工、革製品などの職人、手仕事作家による実演、制作体験などが行われる。

 開館記念式典で、村山秀幸市長は「多くの皆さまに足を運んでいただき、たくさんの出会いと交流が生まれることを願っている」などとあいさつ。来賓の一人、新潟県細巾織物協同組合の星野匠太専務理事(45、ホシノ工業代表取締役社長)は「縦糸、横糸のように人が行き交い、いつまでも心の安らぎにつながるような場所になることを祈念したい」と期待を込めた。

 館内に常設する吉田バテンレース(同市東本町2)は約130年の歴史があり、現在、ブレードから製品まで一貫生産する唯一の事業者。小さい頃から間近で見て育ったという吉田節子代表(70)は「先祖から受け継いだ経験と技術を若い方に教えながら、協力し合ってバテンレースの継承に努めていきたい。上越ならではの新しい商品を考案していきたい」と話した。

ブレード織機の稼働を興味深そうに見る子どもと、説明する吉田節子さん(右)

 開館時間は午前10時から午後5時まで。休館日は月曜日(休日の場合はその翌日)。入館は無料で、体験は材料費などの実費。

 問い合わせは同館(電025・520・9788)へ。

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