地名ゆかりの「藤棚」復活へ 横浜でプロジェクト始動

「藤棚保存会」の責任者として藤を守る鈴木現さん=4月15日、横浜市西区

 地名ゆかりの藤棚を復活させる地元の活動が、官民連携の取り組みで開花しようとしている。横浜市西区の藤棚町交差点など16カ所で4月中旬、藤の花の甘い香りが地域住民を楽しませた。「ことしは小ぶりだけど、来年は大きな花を咲かせたい」

 かつて横浜市電が走っていた同交差点では茶屋「鈴木屋」の軒先で藤の花が揺れていたが、空襲で焼失。「藤が咲く街の風景を再生しよう」と、1977年に地元有志が「藤棚保存会」を結成して復活させた。

 現在の3本は、植え替えなどを経た3代目。ただ、つるが混み合わないよう花芽と葉芽を切り戻すなど手入れは難しく、花房の数は年々減少していった。

 地元が頭を抱えていたところ、2020年に区が「まちの回遊性向上とにぎわいづくり」の施策を公表。区土木事務所が「藤の花再生プロジェクト」を発足させ、管理者を集め剪定(せんてい)講習会を開くなど市民と連携した活動がスタートした。

 今年3月には「緑化を通じ、地域のつながりをつくろう」と、近くの戸部杉山神社境内に苗木を植樹。藤棚になるのは3年後だが、管理者たちは「子どもたちのふるさとの景色にしたい」と思いを込めている。

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