石田がDeNAの救世主となれる理由 手薄先発陣と“勝利の方程式”をつなぐ存在

DeNA・石田健大【写真:荒川祐史】

昨季からリリーフに配置転換も先発経験豊富、2016年に9勝

■DeNA 8ー7 ヤクルト(2日・横浜)

昨年10月に左肩を手術したエース・今永昇太投手を欠いて開幕したDeNA。ここにきてまたもや、先発投手陣に故障者が続出している。救世主となる可能性があるのが、左腕の石田健大投手だ。2日のヤクルト戦(横浜スタジアム)では、2回途中からロングリリーフし3回1/3、3安打無四死球無失点の快投。チームの逆転勝ちに貢献した。

チームに衝撃が走った。この日、先発の阪口皓亮投手が2回に集中打を浴び3点を先行され、さらに2死一、三塁のピンチを背負ったところで、右肘の違和感を訴えて緊急降板。チームは2日前の4月30日の同カードでも、今季3度目の先発マウンドに立った左腕・坂本裕哉投手が村上の打球を左肩に受けて負傷。翌1日に出場選手登録を抹消されたばかりだった。

急遽マウンドに上がったのが石田。代わり端こそ村上に右前適時打を許したが、続くオスナを内角低めの143キロ直球で見逃し三振に仕留め、相手の勢いを止めた。3、4、5回は付け入る隙も見せず、2安打無四死球の無失点に封じた。三浦監督は「急遽の登板だったが、期待に応えてくれた」と最敬礼だ。

ファーム調整中の今永、ロメロは1軍合流へ順調

石田自身はお立ち台で「開幕してから、ふがいない投球が続いていた。結果が出てうれしい」と感慨深げに語った。昨季は中継ぎで50試合に登板し、防御率2.53の好成績。ところが今季は開幕から4試合連続失点で、計3イニング8失点に上った。それでも「ボール自体は悪くない。使い方が良くないだけ。慎重になり過ぎている」と見た三浦監督の信頼は揺るがず、徐々に復調。指揮官はこの日の投球を「大胆に投げた。(開幕直後の)悔しさをバネにして修正してくれた」と称えた。

DeNAは終盤の7回をエドウィン・エスコバー投手、8回を山崎康晃投手、9回を守護神・三嶋一輝投手が抑えるのが必勝パターン。今季は3人とも安定しているが、先発投手陣が手薄で、そこまでたどり着けないケースが多かった。そこで重宝されるのが、石田や国吉佑樹投手のようにロングリリーフが利き、先発と勝利の方程式をつなぐことができるタイプというわけだ。

首脳陣が待望する今永は、4月28日のイースタン・西武戦に先発して7回100球4安打9奪三振2失点の好投。コロナ禍で来日が遅れた新外国人右腕フェルナンド・ロメロ投手も、5月2日のイースタン・楽天戦に先発して5回2/3、87球で2安打3四死球無失点に抑えた。2人とも1軍合流へ向け、着実にステップを踏んでいる。一方で、石田も2016年に25試合先発し9勝4敗、防御率3.12をマークするなど経験は豊富。場合によっては石田が今後、先発を掛け持つ可能性もある。DeNA浮上のキーマンの1人だ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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