西海産ヒノキでタイニーハウス ポストコロナ、木材地産地消へ新提案

住居のほか、リモートワークの事務所やレジャーなどへの活用が期待されるタイニーハウス=西海市西彼町

 所有物を必要最小限に抑える住まいとして注目される「タイニーハウス」。長崎県西海市は市内産ヒノキを使い、木造平屋のモデルハウスを同市西彼町の市有地に建てた。今後、市内の建築、林業関係者と商品化に向けた検討を進める。
 市の林業振興策「未来につなぐ西海の森づくり事業」の一環。市内人工林の9割以上を占めるヒノキの有効活用と需要拡大を目指す。
 「小さな家」を意味するタイニーハウスは米国発祥。日本でも2011年の東日本大震災以降、衣類や生活用具などを極力持たない「ミニマリスト」の暮らし方の一つとして注目を集めている。
 西海市のモデルハウスは床面積約23平方メートル。キッチンや浴室、トイレなど生活に必要な設備を整えた。「ポストコロナ」「ウィズコロナ」時代のニーズを見据え、野外に同じ広さのウッドデッキを設けた。
 工期は約1カ月。赤みが強い市内産ヒノキを床や壁を中心に約5割使用し、木の香りが漂う。今後、木工教室の開催など、市内の林業について理解を深める場としても活用する。
 市は昨年7月、市内の建築、林業関係者、地域商社などで構成する研究会を設置。研究会は今後、工程を簡略化したDIYキットの開発などを検討する。旅先で仕事をする「ワーケーション」用の事務所や、キャンプなどレジャー用途の活用も視野に入れている。
 市農林課によると、これまで西海市産のヒノキはほぼ市外に出荷され、市内で活用される例は少なかったという。担当者は「新たな使い方を提案し、木材の地産地消につながれば」としている。

西海市産ヒノキを使ったモデルハウスの内部

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