今シーズンの桜前線は異例の速さで北上した。 きょう8日(土)は、北海道の最北端である稚内で午前中に開花が発表され、午後は東部の釧路でも開花が確認された。これで、すべての気象台で桜の開花が観測されたことになる。
今シーズンは沖縄・奄美を除いたすべての地点で平年より早い開花となり、過去最も早い開花となった地点は実に28地点に上る(最早タイ含む)。
東北と北陸はすべての県で最早記録となっているのは驚きである。
今年は3月の平均気温が北・東・西日本で統計を取り始めてから最も高くなり、4月の上・中旬も北日本で気温が高めで推移したことから桜の開花が早まったとみられる。
ところで、気象台が観測する桜の品種が地域によって異なることはご存じだろうか?
九州から東北と北海道の南西部(函館・室蘭・札幌)ではソメイヨシノが標本木となっているが、北海道の北部・東部ではソメイヨシノが育たないことから、寒さに強いエゾヤマザクラが使用されている。
エゾヤマザクラは北海道ではよく見られる桜の木だ。花の色がソメイヨシノよりも濃い特徴があり、鮮やかなピンクで北海道の春を彩る道民にとって馴染み深い桜である。
北海道と同様にソメイヨシノが育たないことから、沖縄・奄美ではヒカンザクラが使用されている。
桜ひとつをとっても日本の広さ、自然の豊かさを実感させられる。
(気象予報士・佐藤俊和)