「女子野球をオリンピックに」 4度の日本一を経験した女子右腕が目指す未来

履正社RECTOVENUSの佐伯絵美【写真:喜岡桜】

女子野球功労者に多い渡豪経験 侍ジャパン女子代表の中島監督、橘田監督も

全国屈指の強豪・神戸弘陵に在籍中に4度の日本一に輝いた元エースの佐伯絵美投手は、現在クラブチームの履正社RECTOVENUSに所属している。女子野球史上初の春連覇や、秋のユース大会史上初の3連覇を経験した、2019年女子高校野球最注目投手は、女子野球の更なる普及のため、文武両道の道へと歩を進めていた。

2020年3月に神戸弘陵を卒業後、英語を学ぶため履正社医療スポーツ専門学校のスポーツ外国語学科へ進学。外国人講師と積極的にコミュニケーションをとり、学校卒業後に予定しているオーストラリアへの野球留学に向けて語学力を磨いている。侍ジャパン女子代表監督の中島梨紗監督や、前任の橘田恵監督も大学卒業後にワーキングホリデー制度を利用し、オーストラリアへ野球留学を経験している。

両人とも海外での女子野球普及活動や指導経験があり、日本国内だけでなく、世界的な女子野球の普及にも力を注いでいる。日本女子野球界からオーストラリアへ野球留学を経験している選手は他にも散見される。日本より女子野球振興が進んでいるチーム数が多く、季節も真逆ということもあり、1年を通して野球をプレーし続けることができることなどが理由に挙げられる。

「オリンピック競技に押し上げる力に」 世界的な女子野球の普及活動へ意欲

“先輩”たちが歩んできた経験を学び「橘田先生が『英語が喋れたから日本代表の監督になれた』と言っていたのを聞いて、確信した。英語が話せると、自分が女子野球に対してできることの幅が広がる」と、プレーだけでなく語学のスキルアップも必要と感じている。

ゆくゆくは野球不毛の地での普及活動などを通し「女子野球をオリンピック競技に押し上げる力になりたい」と夢を語る。

地元の香川県で野球をはじめた佐伯は、小学生の時に東京で出場した大会の成績が高く評価され、少年軟式野球国際交流協会(IBA)の選抜メンバーに参加。唯一の小学5年生としてオーストラリア遠征を経験した。メルボルンの男子チームとのリーグ戦は10戦全勝。圧倒的な成績で優勝し、日本へ帰国した。しかし初めて対戦した海外の『パワーベースボール』への探求心が沸いた。約10年ぶりの渡豪を通して、戦略や食事や身体づくりなど海外の野球を吸収し、日本の女子野球のレベル向上へ生かしていく。(喜岡桜 / Sakura Kioka)

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