上越市市制施行50周年 合併アラカルト〈5〉特産品 伝統の産品に誇り 地域に愛着持ち具現化

 上越市が誕生した翌年、昭和47年の『新潟県年鑑』(新潟日報社)には、市の名物・お土産として「ササあめ」「ブランデー」「スキー」「バテンレース」「継続だんご」「こぶ茶」「農機具」「細幅織物」が記載されている。笹(ささ)飴は前年版の高田市、直江津市両方の名物でも名が上がっており、県内で認知されていたことがうかがえる。

 笹飴は粟飴(米飴)を練り、クマザサで包んだもの。昭和40年代は修学旅行生が鉄道で来ると、立ち売り箱を下げて売りに行き、飛ぶように売れたという。市内で広く作られている伝統菓子は、他にも「翁飴」「粟飴」「笹団子」などがある。上越市が平成25年に始めた特産品認証制度「メイド・イン上越」には、この3種が戦前から作られ、現在も複数の店が作っている上越市らしい品として「地域の継承品」として指定されている。

笹飴。昭和40年代は修学旅行生に大変な人気があったという
「粟飴」「翁飴」が認証された平成29年のメイド・イン上越認証式

 一方で、合併後に「上越みやげ」「上越銘菓」など市名を前面に出して売り出した菓子類はごく少ない。旧高田市の菓子店主は「合併当時は、高田や直江津の名に相当こだわりというか、愛着があったようだ。その流れが続き『高田銘菓』『直江津銘菓』が今も残っている」と話す。

 高田、直江津の合併から34年後の平成17年、上越市はさらに周辺の13町村と合併し、現在の姿になった。市民はそれぞれ、自分が生まれた地域に愛着を持ち、伝統の産品に誇りを持っている。それが具現化したものの一つが、菓子だといえる。おわり

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