【えほんのとびら】 No.217「どうぶつえんのおいしゃさん」

福音館書店

作:降矢 洋子

監修:増井 光子   

 動物園のお医者さんの仕事は、開園前の見回りからはじまります。健康観察をすませたあとは、入院している動物たちの世話。病状にあわせた食事を作ったり、薬を飲ませたり。その合間には「らいおんが けんかをして かおに おおけがをした」といった急患の連絡も入ってきます。麻酔で眠らせ、分厚い皮膚をぬい合わせるのに三十分もかかりました。

 それぞれの動物に合わせた治療の方法を工夫するのも獣医さんの大切な仕事です。歯槽膿漏のわにの治療をするときは、手をかまれたり、しっぽでたたかれたりしないよう、特別な装置を考えました。

 ひづめやきばが伸びすぎてしまったり、暖房器具でやけどをしたりと、野生では起こることのないトラブルにまきこまれることもあります。その都度、獣医さんは、飼育員さんと協力しながら、動物たちが順調に回復するよう心をこめて治療にあたるのです。

 この本を監修したのは、長年上野動物園で獣医として勤めてこられた増井光子さん。その豊かな経験がたっぷり盛り込まれた楽しい科学絵本です。

(ぶどうの木代表 中村 佳恵)

© 株式会社サンデー山口