巨人の次期エース候補・戸郷「完全復調」に必要なものとは

完全復調へは道半ばの巨人・戸郷

巨人は11日のDeNA戦(横浜)を4―2で振り切り、今季最多の貯金8とした。9回にソロ2発で勝負を決めたが、気がかりなのはリフレッシュ休養明けもピリッとしなかった戸郷翔征投手(21)だ。エース菅野も不在で大車輪の活躍が期待されるが、完全復調へは道半ば。次期エース候補に浮かび上がってきたキーワードは…。

親指骨折で坂本を欠く〝新二遊間コンビ〟が勝利をたぐり寄せた。2―2の9回一死から若林、吉川が2者連続でソロを放ち、相手守護神の三嶋を粉砕。原辰徳監督(62)は「3番(丸)、4番(岡本和)が不発でも勝てるんだから大したもんだよ。これはやっぱり〝サポーターたち〟が頑張ったということでしょうな」と独特な皮肉を交えつつ奮闘をたたえた。

一方の投手陣では、菅野が右ヒジの違和感のため登録抹消中。エース級の働きが期待される戸郷は6回2失点で試合こそ作ったものの、5四球を与えて116球で降板となった。指揮官は「粘り強くは放るんだろうけど、フォアボールが多いね。まだちょっと微調整が必要でしょうね。チームが勝ったという部分でね、いい肥やしにしてほしいですね」と歯切れはイマイチだった。

戸郷はこの日が4月24日以来、17日ぶりのマウンド。指揮官によると一軍登録を抹消したのは「悩んでいたらしいよ、2試合ぐらい」とのことで、最終的に「投手は繊細だからいいよ」とゴーサインを出したリフレッシュ目的だった。だが、復帰登板で完全復調は印象づけられず…。ヒントはどこにあるのか。

原監督が戸郷を評価した最大のポイントの一つが、高卒3年目とは思えない一種の〝ふてぶてしさ〟だ。昨季は新人王を争うなど9勝をマーク。開幕投手の菅野を差し置き、誰よりも早く開幕2戦目の先発を告げたわけだが、指揮官は本紙にその当時のこんなひと幕を明かしていた。

「(昨年の)12月、1月の彼の立ち居を見ていても、2月1日に宮崎で会った時の彼のコンディショニングを見ても、これは任せられると。(キャンプ終盤の時点でも)いまだに1人にしか言っていない。自分(戸郷)の中では『そうだろうな』と思っていたのではないでしょうか。別にビックリしていたようなことはなかった」(原監督)

これにはチーム関係者も「そこが戸郷の強み。監督自ら真っ先に登板日を告げられても動じないメンタルの強さはさすが。怖いもの知らずというか、何事にも動じない」とさすがに驚きを隠せない様子だった。

そんな強心臓男がリフレッシュを必要とするほど〝悩み〟を抱えさせたのは、相手に研究され、なかなか思い通りにいかないジレンマもあったはず。だからこそ、開き直りこそが復調への一手となるかもしれない。

「2度のリードをもらった中で要所を抑えられなかったことが反省です」と悔いを残した戸郷。次回登板こそ吹っ切れた姿を見せられるか――。

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