体操の五輪個人総合2連覇の内村航平(32=ジョイカル)が16日、東京五輪代表選考会を兼ねたNHK杯(長野・ビッグハット)の種目別・鉄棒で15・333点をマーク。金メダル級のハイスコアであったが、試合後は「全然、納得していない」とさらなる高みを目指している。
H難度の大技「ブレトシュナイダー(後方抱え込み2回宙返り2回ひねり)」をはじめ、すべての技をほぼ完璧に決めた。「ミスなくやれたことは良かった」と言うものの、会見では煮え切らない様子だった。
「もっと練習ではいい演技ができている。それを試合でできないと。点数的には今日も世界ランキング(の得点)を超えていますけど、そこを目指しているわけではない」
東京五輪は団体ではなく、種目別の鉄棒に絞って出場を狙う。ポイント争いでは優位に運んでいるが、東京五輪への道を問われると「全然、考えてないですね。考えている間もなく、自分の演技を振り返っている」と話した上で「なんか五輪がどうっていうより、早く自分の満足いく演技を国内で出しておきたい気持ちが強いです」と答えた。
もはや得点や順位、五輪選考すら興味がない。目指すのはただ一つ、自分の中の「満足」だけだ。
「人から〝すごい良かったね〟とか〝完璧だったね〟って言われても、やっぱり自分が満足できないと僕は納得いかない。その時に満足できる演技を求めてやることが、代表とか五輪とか金メダルにつながっていくと思う」
五輪レースは6月の全日本種目別選手権まで続くが、達観したキングは別次元の挑戦に向かっている。