香港メディアが、東京五輪と中国政府、国際オリンピック委員会(IOC)の〝特別な関係〟を批判した。
香港紙「サウスチャイナモーニングポスト」は「IOCのトーマス・バッハ会長は中国の習近平国家主席との会談で今回の東京五輪に新型コロナウイルスワクチンを提供すると提案した。これは中国が東京五輪を契機に日本との梗塞された関係を改善し、日本をつかんでおいて来年の北京五輪の西側諸国のボイコットの動きに日本が加わることを防ぐためだ」と指摘した。
先週行われたバッハ会長と習主席との会談では、新型コロナ禍の深刻化により開催が危ぶまれる東京五輪について中国側が開催を全面支持すると表明。そのうえで中国製のワクチン提供をバッハ会長に提案した。
東京五輪を巡っては海外からも中止を求める声が高まっているが、開催強行へ窮地に立たされている日本政府に中国が〝助け舟〟を出した格好。東京五輪が中止となれば来年の北京五輪の開催にも批判が高まるため、それを回避する狙いが見え隠れする。また、新疆ウイグル自治区の人権問題により欧米で広まっている北京五輪ボイコットの動きに対して、日本を〝懐柔〟することでけん制しているとの見方だ。香港紙の指摘は、複雑に利害が絡みながら日本、中国、IOCが東京五輪の開催強行のために協調しているというものだ。
国内外の世論で開催中止を求める意見が高まり崖っぷちの日本政府や大会組織委員会にとっては、中国が〝救世主〟となっているようだ。