「FIRE」したい人が注目する米国株って?経済的自立を目指す具体的な投資ステップとは

近年「FIRE」が話題になっています。FIREはひとことでいえば「早期リタイア」のことなのですが、お金持ちの早期リタイアと違って誰でも目指せるため、注目されています。FIREしたい人が注目しているのは、ずばり米国株。

今回は、FIREの考え方から米国株が注目される理由、高配当株・連続増配株の銘柄、そして米国株購入におすすめの証券会社も紹介します。


そもそもFIREとは?FIREを達成するためのステップ

FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字をとって作られた言葉です。日本語に訳すと「経済的自立・早期リタイア」といった意味です。

早期リタイアというと、一生困らないくらいの大金を稼いで仕事を辞め、あとはその大金を使いながら悠々自適の生活を送る人を想像するかもしれません。しかし、そんな大金持ちに実際になれる人はごくわずかでしょう。

FIREが目指すのはそうした大金持ちではなく、資産運用からの収入で生活費の一部または全部をまかなうことです。具体的には、

(1)リタイア後の年間の生活費を計算する
(2)年間の生活費を年間の資産運用収入でまかなうために必要な「FIRE」資産の総額を計算する
(3)「FIRE」資産を貯めるために毎月投資を行う
(4)毎月の積立金額を増やせばFIREが近づくので、支出を削る

以上の順番で考えます。

資産運用による不労所得を増やし、不労所得で入ってくる金額より生活費が少なくなれば資産は減らないので、早期リタイアができます。つまり、FIREが従来の早期リタイアと異なるのは、資産を減らさず生活する、ということです。

不労所得といえば不動産投資のイメージがあるかもしれません。しかし、株や投資信託でも、配当金や分配金という不労所得を得ることができます。株や投資信託を活用すれば、比較的少ない資産からでもFIREを目指せます。

誰でも、生活費を稼ぐための仕事やお金の悩みから解放され、自分の時間を好きなことに使いたいはず。FIREならそんな生活を「誰でも目指すことができる」わけです。これが、FIREが話題になっている大きな理由です。

とはいえ、完全にFIREするまでには努力とそれなりの資産運用の時間が必要です。ですから、中には生活費の一部を勤労収入と合わせてまかなう人もいます。この考え方を「サイドFIRE」といいます。Twitterなどを見てみると、サイドFIREを目指す人も多いようです。

FIREで人気!「高配当株・連続増配株」

誰もがFIREを目指すための不労所得として注目されているのが、株を持っていることで受け取れる配当金です。FIREでは、配当金がたくさんもらえる「高配当株・連続増配株」を狙って投資をします。

高配当株とは、1株あたりの配当金を1株あたりの株価で割った利回り(配当利回り)のこと。同じ金額の銘柄ならば、配当利回りの高い銘柄のほうが効率よく配当金を受け取ることができます。

また連続増配株とは、何年も増配を続けている株のこと。増配とは、配当金の額を増やすことです。増配は会社が安定して成長していないとできません。ですから、増配する会社の株を買うことで、お金を増やしつつ、安定した会社に投資できるというわけです。

日本にも、配当金の高い銘柄や、連続で増配をしている銘柄もあります。しかし、FIREで主に狙われるのは米国株。米国株の中には、日本株よりも高配当・連続増配を実現している銘柄があるのです。

米国株ってそもそもなに?

米国株は文字どおり、アメリカ合衆国で取引されている株式のこと。日本株は東京証券取引所(東証)をはじめとするいくつかの証券取引所で取引されています。これと同じように、米国株もニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダック(NASDAQ)などの証券取引所で取引されています。

米国株式市場の値動きを表す主な株価指標には、ダウ平均(ダウ工業株30種平均)とS&P500があります。ダウ平均は米国を代表する30銘柄の平均株価を指数化して算出する株価指標。対するS&P500は米国の500銘柄の時価総額をもとに算出する株価指標です。

FIREの投資先は、日本株ではなく米国株の理由

FIREを目指すのに、日本株ではなく米国株を利用する理由は、大きく次の3点あります。

理由(1)米国株は四半期配当が一般的だから
日本株の多くは、配当は年2回、半年ごとに支払われます。これに対して、米国株の多くは四半期配当、つまり年に4回(3か月に1回)支払うところが多いのです。これを活用して、たとえば、

・1月・4月・7月・10月に配当金を支払う銘柄
・2月・5月・8月・11月に配当金を支払う銘柄
・3月・6月・9月・12月に配当金を支払う銘柄

と分散して保有すれば、毎月収入がある状態を作り出すことができます。

理由(2)1株から購入でき、1株から配当がもらえるから
日本株は、通常100株単位で購入します(単元株)。最近はスマホ証券を中心に単元未満株の取引も増えていますが、100株単位だと、投資する金額も大きくなってしまいます。その点米国株は1株単位で購入します。そして1株から配当がもらえるので、投資がしやすいのもメリットです。

理由(3)米国は世界のトップだから
米国は世界経済の中心だけあって、世界的な大企業がたくさんあります。GAFAM (グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル・マイクロソフト)と呼ばれる巨大IT企業、ウォルト・ディズニーやコカコーラといった老舗企業、そしてネットフリックスやテスラのような近年話題の企業まで、さまざま。最大の先進国でありながら、成長が著しいのが特徴です。

その成長の具合は、株価指標からも見てとれます。

米国株のS&P500と、日本株のTOPIX(東証株価指数)の過去20年(2001/4/1〜2021/3/31)の年利回りを比較すると、S&P500(円ベース)は年平均5.71%上昇しているのに対し、TOPIXは年平均2.18%しか上昇していません。日本株も上昇しているのですが、米国株にはかなわない、という状況なのです。

高配当株・連続増配株投資の注意点と対策

米国株の中には50年以上増配を続ける企業も。たとえば、アメリカン・ステイツ・ウォーターは66年連続増配しています。プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、スリーエム、ジョンソン・エンド・ジョンソン、コカ・コーラなどのおなじみの企業も50年以上増配しています。これだけの長期間、投資家に利益を還元しつづけているのは驚異的です。

もちろん、これらの企業が今後も増配するとは限りません。業績が悪くなれば増配をストップしたり、配当金を少なくしたり、なくしたりする可能性もあるのです。

日本でも、かつて高配当株として知られていた銘柄に東京電力があります。不況に強い上に配当も多くて人気でした。しかし、震災後は株価が暴落。そのうえ、配当金をゼロにしています。このように、絶対に安全な投資はありませんので、ご注意ください。

株価暴落による損失を減らすための対策として大切なのは、業種・地域・銘柄の分散を行うことです。いくら素晴らしい高配当株・連続増配株だからといって、1銘柄に絞って集中投資をしてしまうと、その銘柄が下落したときに大きく損することになります。

業種・地域の異なる複数の銘柄に分散投資しておけば、そのうちのどれかが損失を出したとしても、ただちに大損につながるわけではありませんし、他のどれかの値上がりなどでカバーできる可能性があります。

個別株での分散投資が面倒という方は、米国高配当株に投資するETF(上場投資信託)を選ぶのも手です。ETFは、1本買うことで数十・数百の銘柄に投資するのと同じような効果を得ることができる商品です。

たとえば、

・バンガード・米国高配当株式ETF(VYM)
・iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF(HDV)
・S&P500高配当株式ETF(SPYD)

などが挙げられます。いずれも、米国の複数の高配当株に分散投資を行うETF。手数料(経費率)が0.1%未満と安いのが特徴です。

米国株投資するなら、証券会社はこの4つから選ぼう

米国株や米国ETFは、証券会社で購入できます。おすすめなのは、次の4社です。

米国株・米国ETF投資におすすめの証券会

ネット証券のSBI証券・楽天証券・マネックス証券はいずれも米国株・米国ETFの銘柄数も多いうえ、安い手数料で取引ができます。SBI証券にはさらに、米国株・米国ETFの自動積立サービスも用意されています。

また、スマホ証券の「PayPay証券」もおすすめ。PayPay証券では米国株を株価に関わらず1000円から購入できます。自動積立も可能です。たとえば、1株の株価が1万円の銘柄でも、1000円ずつ購入することができるのです。スマホで簡単に投資できるので、ぜひ試してみてくださいね。

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