<南風>にじいろのリュック

 仕事でPCを持ち歩くようになってリュックサックを探し始めた。いろいろと見たがしっくりこない。そんな時ネットを眺めていたらレインボーカラーのリュックが飛び込んできた。

 カンボジアの刑務所で生まれたきょうだいが難民としてオーストラリアに渡り大人になって立ち上げたバッグブランドの広告だ。材料はアップサイクルで売上はカンボジアの子どもの教育支援に使われ、学校を5校運営している。虹が大好きなのに加え、このブランドストーリー。ひとめぼれだ。すぐにオーストラリアから取り寄せて以来どこに行くにもにじいろリュックを背負っている。

 虹つまりレインボーは世界的に多様性の象徴でもある。

 私は小さな頃から苦手どころか人並みにできない分野があり、自己嫌悪を積み重ねてきた。片付けや時間やスケジュールの管理などがダメな分野だ。

 以前の職場では、比較的得意な対人コミュニケーションは私が全力で担当し、私が苦手な分野はそこが得意な同僚のNさんがいつもサポートしてくれていた。ひとりで会社を始めた今Nさんのありがたさを改めてひしひしと感じている。

 予期せず新たな大きな取り組みとなったこの1年、苦手ともいっていられず走ってきたがやるべきことをやりきれず悩んでいた。もしかしてと思い病院を訪ねると、ADHD(注意欠陥多動性障害)と診断を受けた。私のことをよく知る人はこの漢字の字面だけでも納得感があると思う。ADHDの特徴でもある衝動性の「思い立ったら吉日」がランチサポートでは良い方向に働いた。

 性の多様性、発達のデコボコ、得意不得意、生まれた環境の違い、だれもがみんな生きやすい社会にしていきたい。そんな思いを込めて今日もにじいろのリュックで動く。

(富田杏理、おとなワンサード代表)

© 株式会社琉球新報社